2008年 12月 04日
帰国してから、東野圭吾の「白夜行」と「幻夜」を読んだ。かなり分厚い本なので、けっこう前に買って読もう読もうと思っていたのだが、なかなか読み始めるきっかけがなく放置していた。一応、シリーズとして扱われるようだが、読み方によっては連続性があるようにも取れるし、反対に、全く別の小説としても読める面白い作品だ。 読んだことのない人もいると思うので内容は書けないが、「白夜行」の方は最初の話からクライマックスまで19年かかる壮大なストーリーで、読み終えた後にある種の達成感と切なさが残る。一方、「幻夜」の方は、登場人物の内面を描写しないハードボイルドなスタイルで書かれている「白夜行」の視点と少し違い、登場人物の性格が伺い知れる書き方や、登場人物同士の会話を中心とした人間同士のつながりが描かれていて、前作よりも人間に焦点が置かれている。 「幻夜」を読んだ後、多くの人は女性不信になると思う。また、世の中は正直に生きても報われないんだなと思ってしまう人もいるかもしれない。しかし、エンターテイメントとしてはとても面白い。 東野圭吾は書くのが早い。過去の作品数を見てみると、まだ若いのに相当数書いている。文豪と言われる夏目漱石や森鴎外などが一生のうちに残した作品は、東野圭吾などの流行りの小説家と比べて圧倒的に少ない。 そういう意味では、東野圭吾は音楽に例えれば、ヒット作をどんどん量産するポップ音楽プロデューサーのような存在かもしれない。反対に、今でも読まれる夏目漱石は、自分の内面を深く掘り下げた歌を歌うシンガーソングライターや真実を追求するアーティストに例えられるかもしれない。片方のファンからは、もう片方の作品は受け入れられなく、また逆のパターンもvice versaだ。そこの間には大きな溝が横たわっている。 重要なのは、50年後、100年後になっても、まだ多くの人に読まれているかどうかである。夏目漱石の小説は100年以上経った今でも幅広く読まれるし、ビートルズやレッド・ツェッペリンの歌も、50年近く経った今でも若者を熱狂させる。 今、本屋に平積みされている本の多くは、100年後にどれくらい広く読まれているだろうか。そんなことを考えながら本屋に並ぶ本を見てみるのもおもしろい。 ■
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by aokikenta
| 2008-12-04 01:13
| 日記(東京2)
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