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2007年 11月 27日
退避勧告下のアフガニスタン・リポート② 経済活動編
アフガニスタンでお仕事中、芹沢智一さんのブログ『亜富汗斯坦日乗』の中で紹介されていた、中国企業による銅山開発プロジェクトの記事が2007年11月26日付のAfghanistan Timesに出ていた↓。

退避勧告下のアフガニスタン・リポート② 経済活動編_e0016654_20312422.jpg記事によると、中国国有企業China Matellurgical Groupが、カブール南部のロガー州にあるAynak銅山の採掘権を、2年越しの入札の末に獲得し、30億ドル(約3600億円)の投資をする計画だということだ。驚いたのは、採掘の為に必要な貨物列車の建設も行う計画だという部分だ。
"China Metallurgical Group agreed to invest billions of dollars in the project and related infrastructure development - including the construction of a coal-fired electrical power plant and what would be Afghanistan's first freight railway."
"preliminary plans call for a railroad link from Tajikistan to the copper field and on to Pakistan"

アフガニスタンで最初の貨物列車。

計画だと、タジキスタンから銅山へつながり、そして銅山からパキスタンまで延びる線路を作るらしい。すごいね。

経済が発展する為には、人も金もそうだけど、特に物が行き来することが重要だと思う。日本の場合、明治維新後には海上輸送が著しく発展して、貿易立国そして経済大国への道を歩んできた。日本で最初に設立された株式会社が日本郵船という船会社だということもそれを裏付けている。航空産業が発達した今でも、全体の物量の99%以上を日本は海上輸送に頼っているという事実も、いかに大量に物資を輸送する手段を確保するかが重要かということを示している。

内陸国であるアフガニスタンでは、日本と同じように海上輸送をすることができない。そう考えると、車による輸送と鉄道による輸送が、アフガニスタンの発展を考えた時には重要になってくるのは間違いないだろう。アフガニスタンではまだ幹線道路すら完成していない状況で、今も物資はパキスタンや中国やイランから大量に流入してはいるものの、運輸・貿易の面でいえば陸の孤島という状況にある。それはもちろん、30年近く続いた戦争の影響なんだろうけど。だから、鉄道は絶対にアフガニスタンの発展の為に必要だと思っていたので、ニュースを見て軽く感激した。

更に、このプロジェクトで雇用も1万人確保できる予定らしい。
"some 5.000 people will be working at the power plant adjacent to the copper mine"
"Another 5.000 people... are expected to be employed in the mining operations and as construction workers on the railroad"
発電所で5千人、採掘と線路建設で5千人。

この銅山は1979年に旧ソ連の地質学者によって発見されていたらしいけど、戦争の影響で手付かずになっていたそうだ。そして、手が付けられていない銅山の中では世界最大級のものらしい。
"Years of war in Afghanistan have ensured that the deposit has remained largely untouched since Soviet geologists surveyed the field in 1979"
"By the estimates of some geologitsts, depostits at Afghanistan's Aynak copper field in Logar Province make it the world's largest undeveloped copper field"


こうして見てみると、このニュースはアフガニスタンの発展に向けてとてもいいサインだと思うし、開発に向けて大きな一歩だと思うけど、一番大きな問題はやっぱりリスクだよね。治安が安定した地域はいいけど、不安定な地域に線路を作って破壊されないのかというのは、素人目に考えても単純に難しいだろうと思ってしまう。これをどうやってmanageするかがこのプロジェクトの勝負でしょう。しかし、もし、こういうプロジェクトが成功していけば、アフガニスタンへの外国からの投資が増えて、経済活動ももっと活発になっていくのだと思う。紛争というのは全てをズタズタに破壊してしまう行為。それはインフラとか目に見えるものだけじゃなくて、人間の内面についてもそう。それを解決したり、解決された後に平和な社会を作って生きたいと常々思っているけど、やっぱり最終的に目指すべき社会を実現する為には、僕らみたいな援助関係者だけじゃなくて、民間会社や投資家の力が必要になってくるのだろう。もっとも、それにはアフガニスタンの場合50年、100年スパンの時間が必要になるだろうけど。そんなことを考えてみた。

by aokikenta | 2007-11-27 20:52 | 日記(イスラマバード)


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