2007年 03月 20日
国際協力業界で働くようになってから、「何故アフガニスタンでお仕事をされているんですか?」と質問をされることが多くなった。何故に答えるには、結果に対する原因を説明する必要がある。そして、因果関係が質問相手に納得できるものでなくてはならない。そういった意味では、何故は、何を、いつ、ですか、という質問とは種類が異なるのである。 そういう質問をされると一体どこから答えたものか考え込んでしまう。 短めに話せば、大学院で難民帰還の研究をしていてケーススタディーとしてアフガニスタンを取り上げました、自分が研究した国でどうしても働きたいと思い、現在こうしてアフガニスタンで働いてきます、というようなことになる。 上の返答は、何故大学院で難民帰還の研究をしようと思ったのですか、という質問には答えていない。こう答えると、大抵もう少し詳しく踏み込んで「何故国際協力業界に興味を持ったんですか」と聞かれる。「もともと興味があったんですか?」と聞かれたりもするが、その「もともと」がそもそも何処からを意味するのかということが問題となる。intrinsicな性質として国際協力に興味があったんです、と答えると変な顔をされるだろうし、世界平和が僕の理想です、と真顔で答えたら多分一歩距離を置かれるだろう。 こんな時は、学生時代から海外に行く機会がありまして特に発展途上国に行ったときの印象が強くてその時から将来は国際協力業界に進もうと思っていました、などともっともらしい事を答えると質問相手も納得するようである。 いずれにせよ、一発で質問相手を納得させる方法というのがなかなかない。 色々考えてみたのだが、その中でも「ワケありで」という返事はなかなかのものだと思う。 A:「何故国際協力業界で働こうと思ったんですか?」 僕:「えー、大学を卒業してから民間企業で働いていたんですが、ワケありで退職しまして、それからワケありでイギリスに留学をして、ワケありでアフガニスタンで働くことになりました」 A:「・・・」 上のように答えたら、多分突っ込んだ質問をされることはないだろう。 逆に、過去にあったかもしれない出来事を想像して少し涙ぐんでくれるかもしれない。 一発で相手を沈黙させる便利な言葉。 それが「ワケありで」。
by aokikenta
| 2007-03-20 22:19
| 日記(カブール)
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