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2005年 07月 03日
2005年6月21日(火) 「4日目 ボン日帰り旅行」
 この日は少し早起きである。なぜなら、今日はボンに住んでいるフェデリコの叔父と叔母を訪ねに行くからである。もともと訪ねる予定はなかった。しかし、計画変更は旅行につきものである。僕等は昨日、フランクフルト駅でチェコのプラハ行きの電車にスケジュールと値段を確認しに行った。実は、ドイツに来る前はプラハに行こうと話していたのだ。フェデリコの従兄弟によれば、車で3時間くらいだからそう遠くはない、という話だったのだが、なかなかどうして、電車で5時間もかかるというではないか。しかも170ユーロ(約22,563円)ほどするという。検討した結果、値段が高いし、けっこう遠いので、日帰りもしくは1泊で行くのはもったいないということで、計画は却下になった。そういういきさつがあり、フランクフルトから1・2時間で行ける適当な場所を考えていたら、ボンが候補に挙がったのである。「ボンとかどう?」と僕が言うと、フェデリコが「ボンなら親戚がいるから、行くなら連絡しないとな」ということになり、話はトントンと決まった。

 朝食を取る時間がないからと、昨日買っておいたシリアルバー、バナナなどを食べ、9時30分頃駅に向かった。チケットをその場で購入、9:48の電車に乗った。あまり寝ていなかったこともあり、電車の中は熟睡であった。

 約2時間ほどで到着した。ボンは、旧西ドイツの首都であったということで、大きい街かと思っていたが、期待に反して、こじんまりとしたかわいらしい街であった。フェデリコの叔父さんの家に行く前に、少しボンの街を散歩した。ベートーベンの故郷だということで、大きな銅像が中央の広場にドンと鎮座している。撮影スポットだと思い思わず記念写真を撮ってしまったが、ベートーベンの故郷だと知ったのは後のことであった。
 
 フェデリコが叔父に電話をして、これから行くよというようなことを話した。その会話の中でわかったことなのだが、偶然にも、なんとこの日は、フェデリコの叔父の誕生日だったのだ!たまたま、計画もしないで立ち寄ったら、その人の誕生日だった。叔父の立場になったらけっこうすごいことだと思う。自分の誕生日に、甥が突然やって来たのである。しかも、日本人の友達を連れて。この日は、僕は胸に「少林寺」と大きく書いてあるTシャツを着ていたので、バッチシとアジアから来た人間だという印象を与えたように思う。厳密に言えば少林寺は中国のものだが、西洋人からすれば大差ないだろう。手ぶらではいけないということで、スーパーでワインを買い、プラプラと街を見回してから、バスに乗り家に向かった。

 その家は街の中心から遠くなかった。バスで15分くらい乗ってから、5分ほどの徒歩で着いた。フェデリコの叔父と叔母が温かく出迎えてくれた。叔父は眼鏡をかけた白髪の優しそうな人で、ドイツ人だと言う。恰幅がよく、ポロシャツにチノパンツがよく似合う。叔母も眼鏡をかけており、少々小柄だが、どこか芯の通っていそうな鋭い目をしている。話した感じも叔父とはだいぶ違い、積極的であろう性格が伝わってくる。彼女はメキシコ人で、イギリスに旅行中に、ドイツ人の旦那さんと出会ったのだという。僕らはイギリスから来ているので、これも何かの因縁かと思った。家は、郊外にある3階建て庭付きの立派な広い家だ。話を聞いてみると、このあたりではこれくらいは普通ということで、話している感じからも謙遜というような気がしなかった。

 早速、用意をしてくれていた食事をご馳走になる。庭にテーブルがセッティングされてある。赤いチェックのテーブルクロスが眼に鮮やかだ。庭で食事なんて東京ではあり得ないな、と思い、ヨーロッパにいるという気分をより一層強くする。ドイツといえばソーセージということで、ビールを飲みながら、伝統的なソーセージを2種類と、手作りのポテトサラダ、ピクルスなどを頂いた。1種類目のソーセージは、ミュンヘン特産の白いソーセージで、食べるときに皮をナイフとフォークで剥いでから食べる、少し変わったものだ。茹でてあり、強い味はないが、よい肉を使っているのだろう、しっかりとした味がする。2種類目のソーセージは、フランクフルトソーセージで油で炒めてある。こちらは日本で知られているソーセージと極めて近い。本来から言うと、日本がドイツから学んだんだから当たり前と言えば当たり前である。マスタードをつけて頂く。おいしかった。

2005年6月21日(火) 「4日目 ボン日帰り旅行」_e0016654_2230472.jpg


 食事が終わった後も、苺にアイスクリームをかけたデザートと、手作りのケーキが出てくる。これまた、絶品であった。話しは、主にヨーロッパで知られている日本人の話しになった。中田の話しはもちろん、指揮者の小沢征璽の話などがでた。そのほかにも、向こうはクラシックに造詣が深いらしく、いろいろと名前を言われたが、全然わからなかった。もう少しクラシックも聞いてみるかな。
 
 こうして、2時間かそれ以上は話したであろう、気づけばけっこうな時間になっていた。叔父さんが、車でこの辺りを案内したいと言ってくれたので、お言葉に甘えて、お願いをすることにした。この辺りには森が多いということで、近くの丘の上まで連れて行ってくれた。少し曇っているが眺めがいい。僕らがいた場所のすぐ近くにはお洒落なレストランがあった。叔父さん曰く、結婚式で人気のある場所だという。たしかに、こんなに見晴らしのいい場所で結婚式を挙げられたら幸せだなと思った。

 いくつかの名所を車の窓から眺め、ライン川を渡るフェリーに乗り、家に戻った。お別れである。突然の訪問にも関わらず、食事をご馳走になり、案内までしてくれた。僕は感謝を言い、二人とハグをして別れた。

 6時ごろの電車に乗り、フランクフルトへ戻った。この日は、20:45からアルゼンチンxドイツ戦があったので、ホテル近くのアイリッシュパブへ見に行った。地元ドイツの試合ということで、パブは満員。なんとか二人分の席を確保して観戦した。正直言って、この試合は予選リーグの中で一番白熱したいい試合だったのではないかと思う。アルゼンチンの高い個人技とスペースを使うレベルの高いサッカー、そして、ドイツの組織的な攻撃。とてもいい試合だった。結果は2-2。どちらも準決勝に進めるチームであるが、手を抜いていたようにはとても見えなかった。

 満足して、ホテルへ帰った。シャワーを浴びて、寝転ぶと気持ちいい眠気がやってくる。フェデリコのお陰で、サッカーばかりではなく、ドイツの文化に少しでも触れる機会を持つことができた。いい一日だったな、と心でつぶやき、僕は眠った。

by aokikenta | 2005-07-03 00:00 | (番外編)ドイツ旅行記


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