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2007年 07月 25日
一時帰国
一時帰国の2日前、ザヒール・シャー国王が死んだとアナウンスされたので、出発前日と出発当日の2日間、政府機関が喪に服して休みになることになった。それに合わせてウチも2日間休みにすることにした。オペレーションが終わったので特に問題はないけど、引継ぎをする時間が十分にない!まぁ、いなけりゃいないで何とかなるさ。組織に「この人がいなければ」なんてことは大体ないもんで、仮にあったとしても、そいつは少し傲慢な考えってやつだ。

明日25日~8月6日まで日本に一時帰国します。
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by aokikenta | 2007-07-25 01:03 | 日記(カブール)
2007年 07月 23日
地雷処理と祈り
たまにオフィシャル・ホームページの方でも文章を書いてるので、気が向いたらどうぞ。

→ こちらの「アフガン報告」から見られます

* * * * *
「地雷処理と祈り」

 現地スタッフの一人が昼下がりにお祈りを始めた。彼のお祈りを観察していると、座り方が正座だった。いつも目にしている光景だが、一瞬違和感を持った。

 通常、アフガニスタン人は胡坐(あぐら)をかいて生活をしている。食事をする時、チャイを飲んで歓談する時、重要な会議をする時、アフガニスタンの伝統では絨毯の上で胡坐をかくのが慣わしだ。もともと、胡坐の「胡(こ)」の字は、唐代の中国では「中国の西方もしくは北方からきたもの」に対して付けられた。胡瓜、胡椒等と同様、胡坐も中国の西方、即ち、ペルシャ、アフガニスタン、インド方面からもたらされた。アフガニスタンは胡坐という呼称の起源とでも言えるかもしれない。
 
 しかし、アフガニスタン人はお祈りの際には決まって正座をするのである。イスラム教徒であるアフガニスタン人は一日に5回欠かさず唯一神アッラーへのお祈りを捧げる。夏の期間であれば、朝の午前4時半、午後1時15分、午後5時15分、午後7時10分、午後8時30分の5回だ。これらに加えて、毎週金曜日にはモスクにおける集団礼拝によって神への信仰心を誓うのである。正座をしているアフガニスタン人を見ながら、神と対峙する厳粛な瞬間、人間は自然と正座になってしまうのかもしれないとふと思った。

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 地雷処理は祈りに似ている。お祈りと同じく、地雷処理員は作業をする際に正座をする。アフガニスタン人が正座をする光景を目にするには、お祈りと地雷処理だけだ。
 
 安全の面から言えば、地雷処理員が正座をするのは、仮に事故があったとしても、肉体への被害を最小限に抑えられる為だ。地雷が爆破した際には、地雷の破片や爆風が人体を傷つける。従って、なるべく多く地雷に面している部分を防護服やバイザーで覆った方が被害を抑えられる。また、地雷処理員自身の前方にある土に対して探知作業、除去作業を行う為、正座が一番作業効率を考えた上で適している。こうしたことから、地雷処理作業は正座で行われるのだ。

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 しかし、地雷処理員が正座で作業をするのは、果たしてそうした理由のみからなのだろうか。地雷処理とは一歩間違えれば命を落としかねない危険な作業だ。地雷処理員は作業をしながら祈っているのではないか。

地雷で手足を失わないように。今日も無事で作業を終えられますように。無事に家族の下に帰れますように――。

そして、地雷原の周りに住む村人も祈っている。地雷原で事故を起こす子供がもうでませんように――。

それぞれの祈りを抱えながら今日も地雷処理員は地雷原に出て行く。

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(アフガン報告第16報)
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by aokikenta | 2007-07-23 00:16 | 日記(カブール)
2007年 07月 21日
向日葵
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→路傍に咲く向日葵

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→空の青と向日葵の黄色が混ざったら、国旗の右の緑色になった
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by aokikenta | 2007-07-21 18:30 | 日記(カブール)
2007年 07月 17日
秋野豊ユーラシア基金『ユーラシア・ウォッチ』
秋野豊ユーラシア基金のメールマガジン『ユーラシア・ウォッチ 第114号』(2007年7月16日発行)に、寄稿した記事を掲載して頂きました。下記に転載するので、ご覧頂ければ嬉しく思います。

秋野豊ユーラシア基金は、元筑波大学の国際政治学者で、国連タジキスタン監視団の政務官として活動中に武装勢力の凶弾により無くなった秋野豊氏を追悼して設立されました。世界の紛争と平和に関心を持つ若者を支援していこうという志のもと、ユーラシア紛争調査研究プロジェクト『秋野豊賞』をはじめとして、国際交流、国際理解教育、啓蒙普及などの活動を行っています。

HPから簡単に購読できるメールマガジン『ユーラシア・ウォッチ』では、アジア、中東からヨーロッパまでユーラシアに関する政治や安全保障に関する文献情報やエッセイなど、興味深い情報を仕入れることができます。面白い情報満載で、月に2回ほどの適度な配信なので、関心のある方にはお勧めです。

* * * * *
(以下、本文)
「Demining is Jihad(地雷処理とはジハードである)」  青木健太

 「Jihad means struggle (ジハードとはストラグルのことだ)」。スタッフの一人、敬虔なイスラム教徒であるラハマトラー・ハムダルド(38歳)が僕に言った。「ジハード」という言葉は日本ではイスラム聖戦や報復というような血生臭いイメージで報道されることが多い。それ故、日本人の中には、「ジハード」という言葉が報復の為に人を殺す事や自爆テロのことを意味すると思っている人もいるかもしれない。しかし、「ジハード」とは、アラビア語で「努力する」という意味の動詞が語源であり、本来は「崇高なる目標に対する努力や苦闘」を意味する。「ジハード」の果てに命を落とした者はmartyr(殉教者)として尊敬を受け、遺族や友人から特別な畏敬の念を持って埋葬される。

 1979年のクリスマス・イヴに始まった旧ソ連のアフガニスタン侵攻では、「ジハード」という言葉が求心力を得て、アフガニスタン側にイスラム世界から多くの有志を集めた。こうした背景から、イスラム教徒自身によって「ジハード」という言葉が「イスラム教の聖戦」として利用されたという側面も無視できない。こうして西欧社会や日本において広く流布された「ジハード」という言葉の誤った解釈が、イスラム教とテロを結び付けて、イスラム教は危険な宗教であるというような間違ったイメージに通じているのかもしれない。

 ラハマトラー・ハムダルドは付け加えて言う。「Demining is a struggle for making better Afghanistan, therefore demining is Jihad(地雷処理とはより良いアフガニスタンを作る為の苦闘なんだ。だから、地雷処理とはジハードなんだよ)」。(1)「ジハード」とはストラグルである、(2)地雷処理とはストラグルである、従って、(3)地雷処理とはジハードである。アフガン人スタッフから聞く予期せぬ三段論法が僕の胸を強く打った。

 旧ソ連の侵攻、ムジャヒディン同士による内戦、タリバン政権樹立、9.11後のアメリカ空爆など、アフガニスタンは25年以上に及ぶ紛争を経験し、国土には無数の地雷・不発弾が残された。地雷は、交通の要衝、灌漑施設の周辺、農耕地、放牧地、住民居住地域等、戦略上重要な場所に、敵の殺傷、もしくは、陣地の防衛を目的として撒かれた。地雷はほとんど腐食することがない。従って、今も尚、地雷によって手足を失う人々が後を絶たず、月間300人とも言われる人が地雷の被害にあっている。

 こうした状況を受けて、アフガニスタンでは現在、ドナー各国の支援を受けて、8,000人とも言われる地雷処理員が活動をしており、一つの産業としてはアフガニスタンで最大と言われている。危険を伴う地雷処理だが、アフガニスタンの復興の為に命を賭けている地雷処理員は、アフガニスタンの人々から尊敬を集める。何故なら、地雷を取り除けば、そこには農民が畑を耕すことのできる大地、羊を放牧することのできる大地、子供達が安全に走り回ることのできる大地があるからだ。地雷処理は、アフガニスタンが新しい国作りをしていく為の礎となる作業であり、身命を賭して母国の為に地雷を取り除く地雷処理員の行為はまさに、崇高な目標の為の努力「ジハード」なのである。

 象徴的なのは、世界中の多くの宗教がそうであるように、イスラム教でも「人間は土から生まれた」と考えられていることだ。アフガニスタンのシーア派の人々の多くは、お金と余裕があれば、イランのマシュハドに巡礼したいと思っている。第8代イマム・レザーが眠るハラムと呼ばれる廟を訪れ、まるで高校球児が甲子園の土を持ち帰るように、マシュハドの土でできた小さくて丸い煉瓦を家に持ち帰るのが夢なのだ。アフガニスタンが新しい国を作っていく為の土台となる大地が、人間を生み出したと信じられる土によって構成されているという事実関係は、アフガニスタンにおける地雷処理の重要性を雄弁に語っている。

 人間は土から生まれ、そしてまた土へと帰って行く。生命の根源たる大地。アフガニスタンが生き生きとした未来を手にする為には、その母なる大地を再び取り戻すことが不可欠だ。

(本文終わり)
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(以下、メールマガジン転載)
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         ◆◆ ユーラシア・ウォッチ ◆◆
              Eurasia Watch
         編集・発行:秋野豊ユーラシア基金
http://www.akinoyutaka.org
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 第114号                        2007年7月16日
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             ◇Contents◇

       ・エッセイ/ゆーらしあの風
        「地雷処理とはジハードである」(青木健太)
       ・文献紹介

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■エッセイ/ゆーらしあの風■

 Demining is Jihad(地雷処理とはジハードである)

        青木健太(日本地雷処理を支援する会[JMAS]カブール事務所)

 「Jihad means struggle (ジハードとはストラグルのことだ)」。スタッフ
の一人、敬虔なイスラム教徒であるラハマトラー・ハムダルド(38歳)が僕に
言った。「ジハード」という言葉は日本ではイスラム聖戦や報復というような
血生臭いイメージで報道されることが多い。それ故、日本人の中には、「ジハー
ド」という言葉が報復の為に人を殺す事や自爆テロのことを意味すると思って
いる人もいるかもしれない。しかし、「ジハード」とは、アラビア語で「努力
する」という意味の動詞が語源であり、本来は「崇高なる目標に対する努力や
苦闘」を意味する。「ジハード」の果てに命を落とした者はmartyr(殉教者)
として尊敬を受け、遺族や友人から特別な畏敬の念を持って埋葬される。
 1979年のクリスマス・イヴに始まった旧ソ連のアフガニスタン侵攻では、
「ジハード」という言葉が求心力を得て、アフガニスタン側にイスラム世界か
ら多くの有志を集めた。こうした背景から、イスラム教徒自身によって「ジハー
ド」という言葉が「イスラム教の聖戦」として利用されたという側面も無視で
きない。こうして西欧社会や日本において広く流布された「ジハード」という
言葉の誤った解釈が、イスラム教とテロを結び付けて、イスラム教は危険な宗
教であるというような間違ったイメージに通じているのかもしれない。
 ラハマトラー・ハムダルドは付け加えて言う。「Demining is a struggle
for making better Afghanistan, therefore demining is Jihad(地雷処理と
はより良いアフガニスタンを作る為の苦闘なんだ。だから、地雷処理とはジハー
ドなんだよ)」。(1)「ジハード」とはストラグルである、(2)地雷処理
とはストラグルである、従って、(3)地雷処理とはジハードである。アフガ
ン人スタッフから聞く予期せぬ三段論法が僕の胸を強く打った。
 旧ソ連の侵攻、ムジャヒディン同士による内戦、タリバン政権樹立、9.11後
のアメリカ空爆など、アフガニスタンは25年以上に及ぶ紛争を経験し、国土に
は無数の地雷・不発弾が残された。地雷は、交通の要衝、灌漑施設の周辺、農
耕地、放牧地、住民居住地域等、戦略上重要な場所に、敵の殺傷、もしくは、
陣地の防衛を目的として撒かれた。地雷はほとんど腐食することがない。従っ
て、今もなお、地雷によって手足を失う人々が後を絶たず、月間300人とも言
われる人が地雷の被害にあっている。
 こうした状況を受けて、アフガニスタンでは現在、ドナー各国の支援を受け
て、8,000人とも言われる地雷処理員が活動をしており、一つの産業としては
アフガニスタンで最大と言われている。危険を伴う地雷処理だが、アフガニス
タンの復興の為に命を賭けている地雷処理員は、アフガニスタンの人々から尊
敬を集める。何故なら、地雷を取り除けば、そこには農民が畑を耕すことので
きる大地、羊を放牧することのできる大地、子供達が安全に走り回ることので
きる大地があるからだ。地雷処理は、アフガニスタンが新しい国作りをしてい
く為の礎となる作業であり、身命を賭して母国の為に地雷を取り除く地雷処理
員の行為はまさに、崇高な目標の為の努力「ジハード」なのである。
 象徴的なのは、世界中の多くの宗教がそうであるように、イスラム教でも
「人間は土から生まれた」と考えられていることだ。アフガニスタンのシーア
派の人々の多くは、お金と余裕があれば、イランのマシュハドに巡礼したいと
思っている。第8代イマム・レザーが眠るハラムと呼ばれる廟を訪れ、まるで
高校球児が甲子園の土を持ち帰るように、マシュハドの土でできた小さくて丸
い煉瓦を家に持ち帰るのが夢なのだ。アフガニスタンが新しい国を作っていく
為の土台となる大地が、人間を生み出したと信じられる土によって構成されて
いるという事実関係は、アフガニスタンにおける地雷処理の重要性を雄弁に語っ
ている。
 人間は土から生まれ、そしてまた土へと帰って行く。生命の根源たる大地。
アフガニスタンが生き生きとした未来を手にする為には、その母なる大地を再
び取り戻すことが不可欠だ。            (あおき けんた)
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◆新刊書・論文紹介
 冒頭の「○」は単行本や雑誌、「・」は雑誌に掲載された論文を意味します。
 価格は原則として総額表示としております。

~~~~~~~~~~~~~~《アジア》~~~~~~~~~~~~~~~~

○『国際問題』7・8月 2007年7・8月合併号 No.563電子版
 焦点:危機10周年のアジア経済
 ・浦田秀次郎「危機10周年のアジア経済 教訓と将来展望」
 ・伊藤隆敏「1997年アジア通貨危機 原因と深刻化の理由」
 ・白井さゆり「東アジアにおける金融・通貨分野での地域協力」
 ・澤田康幸「アジア通貨危機と貧困問題 危機後の10年間を振り返って」
   ・・・などを収録。下記のサイトからPDFファイルで閲覧可能  
   http://www2.jiia.or.jp/ebook/

○服部龍二・川島真編『東アジア国際政治史』名古屋大学出版会、2007年6月
  刊(2,600+税)

~~~~~~~~~~~~~《ヨーロッパ》~~~~~~~~~~~~~~~

○植田隆子編『EUスタディーズ1 対外関係』勁草書房、2007年6月刊(\3,885)

・小窪千早「EUの機構改革と欧州憲法条約」『国際問題』7・8月 2007年7・8
  月合併号 No.563電子版(http://www2.jiia.or.jp/ebook/)

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◆編集後記
 「メタボリック症候群の診断基準作りに取り組む国際組織が、『男性85セン
チ、女性90センチ以上』とする日本のウエスト基準値と異なる『男性90センチ、
女性80センチ以上』という独自の日本人向け基準を決めた。」との報道があり
ました(6月17日付け朝日新聞)。思わず記事を切り抜きスキャナーで保存し
ました。近年まれに見る朗報です。◆行きがかり上、告白せざるを得ませんが、
実は私のウエストは89センチ(!)なのです。心優しい同僚諸氏は、そんなに
太って見えないと言って下さるのですが、これまで立派なメタボ症候群と自覚
し、ウォーキングに励んできた次第です。しかし上の国際組織の新基準による
と、晴れてメタボ脱却ということになります。◆私は日頃、なんでもグローバ
ル化という最近の風潮に眉をひそめる方でしたが、ここはなりふり構わず宗旨
替えして、グローバル化礼賛論者になりたいと思います。妙な島国根性はいけ
ません。やはり健康も環境同様に、グローバルに維持しなければ。◆とはいえ、
私はひそかにある野心を抱いています。それは、そう遠くない将来に「やはり
日本人は日本の独自基準でないと!」と堂々の反グローバル化宣言を本欄で高
らかに唱えることです。できれば「食欲の秋」までに。◆先日行われた第9回
秋野豊賞の授賞式の模様がホームページにアップされましたのでご覧下さい。
次号は8月1・15日合併号として8月上旬配信の予定です。     (広瀬)
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ユーラシア・ウォッチ 第114号(2007年7月16日発行)
発行元:秋野豊ユーラシア基金(代表 秋野洋子)
    〒151-0061 渋谷区初台1-51-1 初台センタービル803
編集責任者:広瀬佳一・湯浅 剛
郵便振替02740-2-3000
★ご意見・ご感想はinfo@akinoyutaka.org までお寄せください。
★このメルマガはインターネットの本屋さん『まぐまぐ』(マガジンID:91758)
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(メールマガジン転載おわり)
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by aokikenta | 2007-07-17 21:53 | 日記(カブール)
2007年 07月 16日
「夢を持て」の欺瞞
「夢を持て。偉大な人たちはみんな子供の頃から夢を持っていたからこそ、人類史に残るような偉業を成し遂げたのだ」。そんな言葉を当たり前のように聞いて育った。日本では賢い子供をみれば、「末は博士か大臣か」とおだて上げるのが慣習だ。そして、次に言う言葉は、「いいか、夢を大きく持つんだ。そうすればきっと夢は叶う」。

目標を持った人間の方が目標を持たない人間よりも良い結果を出すというのは本当だ。スポーツにしても、何も課題を持たないで練習をしても身につくものは少ないが、自分なりに課題を持った方が伸びが早い。

しかし、「夢を持て」という言説は同時に危うさを抱えている。夢を持てばきっと将来は偉人になれる。それは即ち、夢を持っていなければ平凡な人生を送る事になる、と同義だ。夢を追いかけるのは格好いいが、世間の多くの人は、ご飯を食べていく事、家族を養う事で精一杯だ。明確に将来なりたいものが自分にはないのだから、自分の人生はきっと平凡に終わっていくに違いない。そんな悲観主義者を生む可能性を大きく孕んでいるのだ。

果たして、「夢を持て」という言説は正しいのか。

僕は思う。

偉人は、子供の頃から夢を持っていたから偉業を成し遂げたのではない。
偉業を成し遂げたから、子供の頃から夢を持っていたとされたのだ―――。

要するに、「夢を持て」の言説には、因果関係の逆転現象が起こっているのではないかと思う。子供の頃から一つの夢を追いかけたから夢を叶えたわけではなくて、ある偉業を成し遂げたその瞬間に、子供の頃から飽くことなく夢を追いかけ続けた少年・少女という過去が作られたのだ。認識論的に言えば、世界の存在は「私」という主体の認識によってしか証明できない。こうした考え方でいけば、過去の世界も歴史も主観によってしか認識できないということだ。言い換えれば、歴史認識は人によって千差万別になり得る。何故なら、歴史を認識するのも主観に頼ってしまうのであり、主観は人によって異なるものだからだ。

夢を持てば偉業を成し遂げられる、という言説もデュルケムがいうところの社会的事実のようなもので、現代に住む我々の多くの人々がそれらしき共通認識を持っているからこそ存在する抽象的なものだ。その社会的事実が、偉人達の過去を書き換えてしまうのではないだろうか。偉人達の全員が全員、子供の頃から偉業を成し遂げることを夢として、それに邁進してきたとはどうしても思えない。

僕がこんなことを書くのは、こうした「夢を持て」という言説によって、希望を失ってしまう人が出てしまうのではないかと危惧するからだ。夢がなければ偉人にはなれない、そうしたら確たる夢もないままに人生の3分の1を終えてしまった僕はきっと平凡な人生を送る定めなのだ---。そんな悲劇が今も世界のあちこちで起こっているのではないかという気がしてならない。

僕は、目の前の事を一生懸命頑張る、そうすると自然に次にすべき事が見えてくると思っている。確かに、将来は学者になる、政治家になるというような崇高な夢を持ち続けて、努力の末にそれを叶える人もいるだろう。しかし、自分がやりたい事で、且つ、自分の才能のある事を見つけ出せる人の数は世界の中でごく限られている。目の前にあるものに精一杯取り組めば、それが自然と自分のやりたい事になっている。

だから、全て仕事の内容に一貫性のある美しい履歴書を追いかける必要などない。その時々の流れと決断で自分だけの履歴書を作っていけばいいのだ。一角の人物になった時、世界一周放浪旅行は「世界のあり方を理解するのに必要だった」と解釈され、無職の期間は「自分の適性を見つけ出し将来を見据える為に必要な期間だった」になり、飲み歩いた日々は「他社とのコミュニケーションの方法を学んだ日々」に、自然となっているであろう。

「夢を持て」は欺瞞だ。
貴方が偉業を成し遂げた時、貴方の少年・少女時代は目に見えない大きなものによって、美しく書き換えられているはずだ。
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by aokikenta | 2007-07-16 00:40 | 日記(カブール)
2007年 07月 12日
マルクス・レーニン主義的発電機
発電機のエンジン音が鼓膜を揺さぶる。電気が突然止まって、庭にある車のエンジンを改造したお化けみたいな発電機を回し始めたのだ。ソファーに座りながら聞く、静謐を打ち破る破壊的な発電機の音はどこかマルクス・レーニン主義的だ。

昨日の夜、普段から仲良くしているサミュエルと彼の奥さんのエイミーの家に遊びに行った。同僚があげたキューピーのマヨネーズをえらく気に入ったらしく、手巻き寿司を作ってあげるというのだ。エイミーは札幌に2年間住んだことがあって、日本人にものすごく親近感を持っている。

作ってもらうだけでは気が引けるのでこちらはお好み焼きと天婦羅を作ることにした。お好み焼きソースの代わりにHPブラウンソースとキューピーマヨネーズをかけたお好み焼きを前菜に、ツナマヨの入った巻き寿司、かき揚げ、ナス・ピーマン・じゃがいも・いんげんの天婦羅が並ぶ豪勢な日本食パーティーになった。食後は、ワインを飲みながら壁一面にプロジェクターで映し出された映画を見て楽しく話しをした。

彼らは人生の楽しみ方を知っている。去年の冬、サミュエル夫妻はサラン峠にスノーボードに行ったと言う。ドライバーと一緒にサラン峠(カブール-マザリシャリフ間にある峠)まで上り、そこからボードで新雪を切って一気にカブール方面を滑り降りるらしい!クール。凍りついた空気を切ってスノーボードがサラン峠を疾走していく。人生で一度はやってみたい遊びの一つだ。

街の電気が戻ってきて、発電機が止まった。不可避的で圧倒的で、そして容赦なく押し寄せてくる物事はどこかへ行ってしまって、僕の周りにはまたいつもの静謐が戻っていた。
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by aokikenta | 2007-07-12 21:17 | 日記(カブール)
2007年 07月 10日
帝国主義的な暑さ
帝国主義的な暑さのせいで、飼っている犬もお腹を見せて昼寝している。僕はミキサーで磨り潰したメロンジュースを飲む。残忍さと平穏が共存する午後だ。

シャリナウにあるA-Oneスーパーマーケットへ行った。PXほどではないが、豊富に品物が揃っていて、サービスもそれほど悪くないのでたまに来る場所だ。冷凍のエビとかヘインツのケチャップなんかを買い込んで外に出たら、ゴミ捨て場に子供が群がっていた。金になりそうなものを拾って、換金でもするのかと思ってぼんやり見てると、一人の男の子が僕の立っているスーパーマーケットの方向へやって来た。

「Mister, give me money(お兄さん、お金を恵んでよ).」

「ボロ、ボロ(あっちへ行け)!」と何度も言ってようやく少年は僕から離れていった。その少年は、今度はスーパーマーケットの店員に向かって、「これは要るの?要らなければ頂戴。」とまた物乞いをしている。店員にあっけなく断られると、少年はゴミの山へ戻っていった。ひどい汚臭のおかげで出来たような陽炎が立ち上るそのゴミの山の上で、必死に金目のものを探す少年を見て、救いようのない気持ちになった。

車でスーパーマーケットを後にしてオフィスに帰る途中で、別の少年と乗用車のいざこざを見かけた。見ていると、車から運転手が飛び出してきて、少年の頬を2回も3回も殴りつけた。少年の手にはボロボロの雑巾が握られていた。

少年は通りがかる車の窓拭きをしてはお金をせびって生計を立てているのだろう。実際の所、ボロボロの雑巾ではほとんど窓は綺麗にならない。ただ、運転手達はかわいそうだからお金を恵むだけの、発展途上国ではごくありふれた風景だ。少年は何かその運転手に侮辱することでも言ったのだろうか。それとも、お金のせびり方が汚らしかったのだろうか。

事件の真相はわからない。ただ、窓拭きで生計を立てる少年の頬を殴った大人が乗っていた車は新品のカローラだ。運転手は汚い手で新品の車に触れられたから怒っただけなのかもしれない。道ですれ違う以外に一生の間に接点があるはずがないほどの圧倒的な社会的地位の差。彼は殴ることで気が晴れただろうか。それとも、殴った手に鈍い痛みが残っただろうか。

少年の横を車で通り過ぎた。少年は背中をヒクヒクさせて泣いていた。
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by aokikenta | 2007-07-10 21:12 | 日記(カブール)
2007年 07月 05日
JENアフガニスタン柴田哲子の『雲外蒼天』
哲子(のりこ)の「哲(のり)」は、哲学の「哲(てつ)」。中世フランスで貴族のみが着ることを許された緑色の衣装が、体から溢れ出る聡明さと知性に見事にマッチしている。きっと男だったら、深い緑色のネクタイをお洒落に着こなすに違いない。JENアフガニスタン柴田哲子の『雲外蒼天』では、そんな柴田哲子さんの日記を読むことができる。

「雲外蒼天」はアフガニスタンの気候、風土、習慣にとどまらず、開発援助やマネジメントに関する事など幅広い情報を網羅している。項目立て・カテゴリーがしっかり整理整頓されているのは、哲子さんの頭の中の様子を表している。食に関する情報が特に充実しているのも頷ける。カブールの銀座シャリナウや、AFC、Chief Burgerなどカブールに住んでいる人なら誰でも知っているが、日本では知られていない事について言及したブログは「雲外蒼天」くらいのものだろう。アフガニスタンに仕事で来るなら、「雲外蒼天」を事前にスタディしておけば他には何も要らない。

アフガニスタン情報だけかと言えばそういうわけでもなく、時折混じったユーモアがお茶目な人となりを感じさせる。全然本文と関係ない写真が文章の最後に登場し、「草を食む羊と羊飼い(癒し系)」「キュート☆」「パンダ子牛の写真も置いておきます♪」などというキャプションがついてくるのを見るにつけ、バランスの良さを感じる。読みながら思わず笑みがこぼれてしまう瞬間がそこにはきっとある。

四字熟語とビジネス本が好きです。
JENアフガニスタン柴田哲子の『雲外蒼天』是非ご覧下さい。
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by aokikenta | 2007-07-05 21:02 | 日記(カブール)
2007年 07月 04日
Emirates
EmiratesにはSkywardsっちゅうマイレージシステムがあったのか。全然知らなかった・・・。これまでマイルをドブに捨ててたようなもんだ。こっちに来る時以外にも、インドネシア旅行もEmiratesだったからかなり損した気分。これからはしっかり貯めてタダの航空券をもらおう。
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by aokikenta | 2007-07-04 23:05 | 日記(カブール)