2008年 07月 10日
戦略的、地政学的
アフガニスタン/パキスタンで、最近、更に治安が悪化している。イスラマバード(パキスタン)、カブール(アフガニスタン)、カラチ(パキスタン)で連続して爆弾テロが発生した。7月6日に、イスラマバードで自爆テロが発生して20人前後の警察官が死亡したと伝えられている。これは昨年7月のレッド・モスク籠城事件を記念するイベントが開かれている会場に集まった警察官を狙った攻撃だったようだ。7月7日には、カブールのインド大使館を狙った自爆テロで41人が死亡、140人以上が負傷したと伝えられた。また、同日7日には、カラチで小型爆弾が連続爆破し、30人前後が負傷、1人が死亡した。イスラマバードでは、デンマーク大使館爆破事件以来、大きな事件は発生していなかったので、一瞬、在留邦人の間で緊張感が高まった。

気になるのは、カブールのインド大使館自爆テロ事件だ。これに関してはタリバンが犯行声明を出しておらず、責任を否定しているので、公に出ている情報では誰がやったのかよくわからない。アフガニスタン人の感覚で言えば、アフガニスタンと仲の良いインドの大使館を狙う集団は、パキスタン以外にはないだろうという考えになる。実際、カルザイ大統領は、「パキスタン」とは名指しをしなかったが、「Foreigners(外国人)」がこの事件の黒幕だ、とパキスタンのことを暗に(というかほぼ明らかな形で)非難している。また、他のアフガニスタン政府高官も、ISI(パキスタンの諜報機関)が事件の背後に深く関与している、と受け取れる発言をしている。この様子は、先月、カンダハルの監獄がタリバンによって爆破された際に、「いつでもパキスタン国境を越えて軍を送る気がある」と、パキスタンのことを公然と非難した場面を彷彿とさせる。

しかし、事態はそんなに簡単なのだろうか?
確信があるわけではないが、これでパキスタンが犯人だとすると、三流ミステリー小説のトリックみたいに簡単過ぎはしないだろうか。別に、現実はミステリー小説ではないので犯人が簡単に見つからなくてもいいのだが、なんとなく釈然としないものがある。

というのも、パキスタンの側からすると、カルザイ大統領が公然とパキスタンを非難する背後には、それを言わせている「誰か」がいるに違いない、という発想になるからだ。パキスタンで「誰か」が背後にいるとほのめかす場合、それはアメリカでもイギリスでもなく、ほぼ間違いなくインドであることを意味する。だから、パキスタンにしてみると、公然とは発表しないが、インドが背後からカルザイ大統領にパキスタンを非難させている、という風に考えているのではないかと思う。

それに、タリバンが犯行声明を出していないからといって、本当にタリバンが犯人ではないと言い切れるわけではないのではないだろうか。何故なら、タリバンが事実を隠すことでパキスタンが悪い立場に陥ることになるので、それはタリバンにとっても戦略的には有効な嘘ということになる。

今回の事件の犯人は一体誰なのだろう。
インドがある種の自作自演をしている?
やってないと声明をだしているけど、本当はタリバンが行った?
それとも本当にストレートフォワードに、ISIが背後で関与している?
そのどれかが正しいかもしれないし、全然違うグループ(アルカイダ等)、或いは、他の国の仕業かもしれない。
手に入る情報が少なすぎて結論が導けないが、とにかく、何者かによって、意図的にこの地域の国際関係は悪化させられていると思う。
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by aokikenta | 2008-07-10 04:43 | 日記(イスラマバード)


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