2008年 01月 18日
ストレスが無いというストレス
「多分、ストレスがない事に対してストレスを感じてるんじゃないの?」

晩御飯を食べている時に、ハウスメイトのノルウェー人に言われた。ストレスがない事に対してストレスを感じる。一瞬、矛盾したセンテンスのように聞こえるけど、なんとなく今の自分の置かれている心境をよく表しているような気がしないでもなかった。

パキスタンをベースに活動するようになってから、数えてみると数ヶ月経っているのだが、前回のカブール出張が1ヶ月近くて、その前後は日本に一時帰国していたので、ほとんどパキスタンに住んでいるという実感を持っていなかった。実際問題として、年末年始を日本で過ごしてから帰ってきたつい先週から、本格的にパキスタンで住み始めたと言った方が適切なのではないかという気がする。

色んな事が変わった。

まず、環境が変わった。あらゆる意味での自分を取り巻く環境。カブールは海抜約1800メートルあるが、イスラマバードは海抜35メートルくらいしかないらしい。それだけでも、如実には感じられないけど身体への影響が少なからずあるような気がする。インフラという事でいえば、電気もガスも水道もワイヤレス・ネットワークも24時間使える環境になって、日本と大差ないレベルの生活になった。食事も日曜日を除いてクックが3食作ってくれるし、洗濯物も掃除もハウスキーパーが何でもやってくれる。「Sir」なんてポール・マッカートニーか誰かに与えられた称号だとおもっていた敬称で呼ばれながらそんな暮らしをしていると、過去の2年間という日々、あれは一体何だったのだろうとふと思う。

他にも、治安の面でプレッシャーが減った。いかにパキスタンが危ないと言っても、やっぱりアフガニスタンにいた時に感じていたレベルでの危なさではない(ひょっとしたら、僕のパキスタンに対する認識は甘いかもしれない)。常に、どこの通りで自爆テロがあった、外国人が誘拐された、IEDが爆発した、なんてニュースに囲まれて移動の自由を奪われた生活をしていた時に比べると、精神的プレッシャーが圧倒的に少ない。

あと、個人的な事で言えばタバコを止めたというのは大きな変化だ。どうしようもなく吸いたいという衝動はまだそれほどなくて順調に禁煙は成功しているが、心配なのは体重の増加だ。タバコを止めると、よく便秘になるとか食欲が増して体重が増えるというが、まさにその通りで、食欲が以前に比べて1.5倍くらいになった。これから毎週体を動かすつもりではいるが、平日はほとんど外出するでもなく、事務所でデスク・ワークをしているので、食事制限をするか運動をするか、何らかの対策を講じなければ体重は増加の一途をたどるだろう。

イスラマバードに戻ってきてから「何か違うなぁ」と感じていた僕の違和感は、こういった色んな変化が積み重なって引き起こされたものだったに違いない。そして、かつて自分に圧し掛かっていた精神的ストレスが無くなり、逆に、その無くなってしまったストレスが生み出した心の空白が自分に不安感や焦燥感という新たなストレスの種を植え付けているということなのかもしれない。

ストレスが無いというストレス。
こういうのって、広く共有される感覚なのだろうか。よくわからない。
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by aokikenta | 2008-01-18 00:52 | 日記(イスラマバード)


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