2007年 12月 19日
世界の終焉は、キミと一緒に素因数分解できない数字で終わりたい
17回「退避勧告下のアフガニスタン・リポート」を書いて、17日にイスラマバードに戻ってきた。17という素因数分解できない数字で終わるのは、気分として悪くない。2とか5とか10とか、そういう数字が区切り良いなんて誰が決めたんだ。区切りというものをどう感じるかは人それぞれ違うもの、価値観が相対的なのと同じことだ。だから、全17回で終わったっていいじゃないか(実際のところ、何の計画もなく偶然にそうなった)。でも、素因数分解できない数字で終わりたいと感じる精神的傾向というのは、一体どうやって説明できるのだろう。

破滅願望?

違うか。というか、そもそもそんな精神的傾向を説明する必要なんてない?
感じるものは感じるものだ。考えてどうにかなることじゃない。だからどうでもいいや。
とにかく「世界の終焉は、キミと一緒に素因数分解できない数字で終わりたい」と言って死にたい。



Operation Contract
今回カブールに出張している間に新しいプロジェクトの承認がおりた。それに伴って、プロジェクト毎に契約していた現地スタッフ、事務所、サイトオフィス、賃貸車両等の契約更新をしなければならなかった。作業量的にも多いのだが、問題は、昨今のアフガニスタンでは物価が物凄い勢いで上昇していることだった。例えば、昔はディーゼル1リットル30アフガニーくらいだったのに、今は42アフガニーくらいに上がっている。燃料だけじゃなくて、ガスも薪も食料も家賃も全ての物価が上昇していてインフレ状態になっている。そういう状況だと、当然、同じ条件(特に、給料・家賃)で契約をやすやすと飲み込むわけはないわけで、今回も契約書にサインをしてもらうのに一苦労した。

こちらとしては、既に予算で決まっている金額でしか条件は提示できない。だから、いくら現地スタッフの生活が苦しくたって、大家が値上げを要求してきたって、彼らの要求を飲むことはできないのだ。それに、1月に控えたパキスタンの大統領選挙が終わって、この厳しい冬が終わる頃になれば全ての物価は下がってくるはずだ。物価と言うのは常に波打って変動している。僕は、実際に契約書を作成するのはラハマトラーくんに任せて、スタッフへの説明に終始した。契約書は、ミスがないかどうかだけをチェックした。必要な箇所をひたすら上書きするようなフィジカルな仕事は現地スタッフに任せた方がいい。彼らの成長にも役立つし、僕は頭脳労働でご飯を食べていきたいのだ。

Operation Contractを片方に見ながら、もう一つの激しい戦線がもう片方の手には広がっていた。

Operation Audit
13ヶ月に渡った1millionプロジェクトの終わりを迎えて、外部監査戦線が出張中に始まった。それをファイナライズする事が、実は今回の出張で僕に与えられたミッションだったのだ。

開戦の1週間くらい前にカブールに入り、過去のファイナンス関連書類、インベントリー関連書類、ドナーへの最終会計報告書を点検し、実際に外部監査が始まると「この金額の根拠は何ですか?」とか「契約書を全て出してください」とか「これを英語に翻訳してください」とか「トランスポーテーションとランチはそちらで負担してください」とかいう鳴り止まない攻撃に約2週間耐えた。外部監査中は、金曜日も土曜日も関係なくぶっ続けで事務所にやってくる会計士3人への対応をしていた。最後のまとめをするのは日本語ができないとできない為に、ファイナンス・オフィサーでは出来ないのだ。日本のドナーも全て報告書を英語でも受け付けてくれれば大分楽になるのになぁ。単なる翻訳とかは二度手間だ。

それはいいとして、どれだけやましいことがなかろうとも、やはり第3者にチェックをされるというシチュエーションは緊張感を高めるものだ。何も隠すようなことはないが、やはり毎日事務所に来て書類なり現物をチェックされるというのは、決して気持ちが良いことではない。反対に思うのは、モニタリングというのはあらゆる面で非常に重要だということだ。不正を防ぐ為もそうだが、部下のモチベーションを上げたり、いつも見られているんだという安心感を与えることに役立つと思う。目が届かないと人間すねるものだ。それは、弟が生まれてからというもの、母親の愛情が半減してしまってすねる兄という構図で明らかなように普遍的な感情なのだ。

出発する当日に、お互いのサインが入ったAudit Reportを手にした。
戦果を上げたジェネラルの気分だった。

Operation Handover Ceremony
この前に処理を完了したMF113の横にあるMF114の処理が、出張中に完了した。49,000m2の地雷原。着々と成果を上げていくというのはとても嬉しいし、励みになることだ。何より一つの事故もなく成果を上げてくれたディマイナー一人一人に感謝の念を捧げたい。ありがとう。君たちの内の一人でも事故にあって、怪我をしたり、命を落としたりしたら、僕に目覚めの良い朝は残りの人生で二度と来ないだろう。

返還式は、現地スタッフが企画、準備、実行全てやってくれた。僕は何一つ手を出さないでも全てが進行して行った。唯一不満があったのは、開始時間が予定より30分以上遅れて始まったことだが、僕はこの事案に関しては責任を全て現地スタッフに任せたので、口を挟まないことにした。アフガン人がやりやすくて満足なようにやっていけばいい。日本人なんていうのはいつかいなくなるんだ。日本人はお金を取ってくるだけで、後はすべてアフガン人が運営していけるはず。特にこの国の地雷処理は進んでいるから大丈夫だよ。ホントに任した。



4回目が「ファム・ファタール編」で、13回目が「柘榴(ザクロ)編」だった。
ちょうどド真ん中の8回目が「空虚編」で、17回でリポートは終わった。
世の中全て上手く出来ている。
だから、きっと万事上手く行くはずだ。
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by aokikenta | 2007-12-19 01:57 | 日記(イスラマバード)


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