2007年 09月 17日
カブールからの手紙
拝啓

 カブールは朝夕日ごとに涼しくなってきて、朝方は肌寒いくらいになってきました。

 アフガニスタンでラマザンが始まりました。断食月とでも書いたらいいのでしょうか。現地のスタッフは、午前4時過ぎから午後6時半くらいまで食べ物もタバコも、そして水すら口にしてはいけないそうで、お昼を過ぎるとみなとても苦しそうです。僕もスタッフの前でタバコを吸ったり、何か食べたり飲んだりするのは忍びないので、タバコを吸うときはこっそり部屋に上がって吸っています。やはり、一緒に断食しないまでも、現地の文化を尊重することが大事ですもんね。

 ラマザンで気になるのは脱水症状と血糖値の低下による事故です。交通事故もそうですが、僕の場合はオペレーションの事故が一番気になります。もちろんスケジュールを変更したり、管理体制を強化したりして対応しています。そういえば、今日どうしてもしなければいけない用事があって外出したのですが、停車している時に反対車線で車が追突しているのをみかけました。追突された車から運転手がおもむろに出てきました。僕は、

「われー、しばきまわすぞ!」

「なんじゃ、こらー、やんのかー、おー」

というような喧嘩でも始まるのかと思い、背中に一瞬戦慄が走りました。

 その運転手は、車の後部までやってきて、追突された箇所をちらっと見やりました。追突した方の運転手は「来るならやるかぁ!?」というような顔をしていましたが、当の被害者はそのまま運転席に戻って走り去ってしまいました。アフガニスタンではバンパーはあくまでもぶつけられるもの、そしてショックを吸収して本体の故障を防ぐものという位置づけのようです。まぁ、修羅場にならなくてよかったです。

 ラマザン中は、どこの組織も就業時間を短くしているようなので、カブールの街はものすごく混んでいて、ひどい交通渋滞でした。そんな混乱した中で、みんなお腹がすいていてイライラしているので、交通事故には充分に気をつけたいと思います。

 最近はアフガニスタンに出たり入ったりで、朝起きたときに「あれ、今どこにいるんだっけ?」と思うことがしばしばあります。あちこち飛び回るのは嫌いじゃありませんが、一箇所に落ち着きたいという気持ちも同時に湧き出てきます。人間ってわがままな生き物ですね。

 そういえば、友人に薦められたモーシン・ハミッドの「The Reluctant Fundamentalist」を買おうと思って隣国で一番大きなF-7マルカスの本屋さんに行ってみたのですが、sold outでした。残念。今度行ったときに買ってみたいと思います。代わりと言ってはなんですが、今更ながらスティーブ・コールの「Ghost wars」を買ってきました。寝る前と何もすることがない週末に読みたいと思います。

 本の話題のついでに、今年の夏は沢山ミステリー小説を読みました。松本清張、宮部みゆき、横山秀夫、東野圭吾、京極夏彦、有栖川有栖など、ミステリーと共に過ぎた夏でした。僕の中で一番面白かったのは、友達が送ってくれた5冊の本の中にあった京極夏彦の『姑獲鳥(うぶめ)の夏』でした。妖怪とか陰陽師とか聞くと、一瞬とっつきにくいと思われるかもしれませんが、いやはやなかなかどうして、読んでみると科学的な視点で書かれていて(認識論や量子力学的視点が入っています)、100ページくらい読んでみたら一気に吸い込まれていました。結末はなんとなくフィッツジェラルド的で村上春樹的です。ミステリー好きでしたら是非ご一読下さい。

 取り立てて掴み所のない文章で失礼しました。季節の変わり目、風邪などひかぬようくれぐれもご自愛下さい。

敬具
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by aokikenta | 2007-09-17 00:41 | 日記(カブール)


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