2007年 08月 11日
フェイド・アウトしていく東京の記憶
- prologue -

フェイド・アウトしていく東京の記憶、
カブールの記憶がフェイド・インしながら蘇える。

- 1 -

友人との飲み会、ショッピング、花火大会、軽井沢旅行。
すべてが既に遠い昔に、しかも別の世界で起こった事のような気がしてくる。

戻って来た当日に、部下から不在中の報告をもらい、上司から不在中に起こった事と今後の課題についてブリーフィングを受ける。
休みの間にババロア状になってしまった脳みそに情報が詰め込まれる。
僕は頭の中でババロアが固まっていくのを感じながら、これからしなければいけないことの膨大さを思い、少しだけ暗い気持ちになる。
しかし、しなければいけないことが明らかになっただけでも、報告とブリーフィングには意味があったような気がする。

到着した当日と翌日に、事務全般の申し受けをし、その後、NGOのミーティングとサイトへのミッション受け入れを無事終えた。
フットサルをし、読書をしていたら、戻ってきてまだ一週間経っていないという事に気がついた。
ここでは、比較的密度の濃い時間が流れているのかもしれない。

- 2 -

僕はこれまでの短い人生の中で、サッカーから学んだことが多い。
後半30分、0-1で1点ビハインド。
負けたら2部降格のピンチ。
残り1分、仲間がゴールを決めて1-1で試合終了。
1部残留が決まった。

先が見えない状況、実力が均衡した状況で、失ったら負けるのは気持ちだ。
勝ちたいという気持ちが無くなった時に、その時点で試合は負けている。
だから、絶対に上手く行くはずだという気持ちを常に持っていなければと、社会人になってからもずっと思ってきた。
それは苦境であればあるほど大事なことだ。
こんな時代錯誤の考えを持つ人を、世間は体育会系と言って違う人種のように思うかもしれない。

しかし、いくら実力があっても腰掛け程度の気持ちで働いている人が、仕事を成功させたのを見たことが余りない。

- 3 -

100人から成るナショナル・スタッフの今後を思うと、寝つきが悪い。
去年の夏のことを思い出して、お腹がキュッと痛くなるのだ。

うだるような暑さ、いつ始まるかわからない次のプロジェクト、給料がない、会計報告書を仕上げなければならない、
そして、傍らには無給で次のプロジェクトを待っているスタッフがいる。
ストライキを起こされて、矢面に立たされた日本人スタッフが元ムジャヒディンのナショナル・スタッフからカラシニコフで打たれるかもしれない。
そう思うと食欲が減退し、体重が減って肋骨が浮き出してきた。
あれからもう一年---。

現地スタッフの10倍以上の給料をもらう日本人には、彼らの将来を傷つけない責任がある。

- epilogue -

フェイド・アウトしていく東京の記憶、
カブールの記憶がフェイド・インしながら蘇える。

砂漠地帯特有の乾いた暑さとだらだらと悪くなる一方の治安情勢と常に変化する諸要因の中で、
明るい未来を切り開くことができるのは、それを実現したいと思う気持ちだけだ。
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by aokikenta | 2007-08-11 16:47 | 日記(カブール)


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