2007年 08月 04日
午前三時、回教徒の呻き
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ア・・ッ・・・ラー・・ア・・ク・バル
ア・・ッ・・・ラー・・ア・・ク・バル

呻き声に似た何かで目を覚ました。
頭の中がぼんやりしていて、一瞬だけ、ここがカブールだったか日本だったかがわからない。
あー、今僕は日本にいて自宅の布団の上で寝ているんだっけ。
そうしたら、今のは一体なんだったのだろう?

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戻ってきて週末の土曜日に新浦安の花火大会で日本の花火を見た。
美しくて、華やかで、きれいだなぁと思って見ていたけど、ドーン、ドーンという音を聞き続ける内に、
突然、地雷原のDitchでしゃがみながらDemolitionを待っている時の風景が目の前に現れた。

5. 4. 3. 2. 1.…… Fire………

容赦なく照りつける太陽と、無線で指示を出すTLの声と、PMN2の爆破音がやけに鮮明で、
新浦安の公園に敷かれた青いレジャーシートの上で少し気持ちが悪くなった。
スモーキング・エリアに行ってタバコを1本吸った。

スモーキング・エリアから見る花火はとても綺麗だった。

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カブールでは毎朝アザーンを聴いていた。
寝ている所から100メートルくらいのところにモスクがあって、
そこに備え付けられたスピーカーからコーランが流れてくるからだ。

いつも同じ時間、ちょうど午前三時過ぎ、意識が朦朧とした頭で聞くアザーンは、
神聖で荘厳でピンとはりつめたところがあり、しかしながらどこか畏(おそ)ろしくて、
聴く度に僕の頭の中にいつもひとつの映像を浮かばせる。
それは、モスクに集合した大勢の回教徒が一斉に呻き声をあげている光景。

そう考えてみたら空恐ろしくて、そして少しだけ面白い。
案外、人質になっている外国人や、世界中で行方不明になった人達がそこのモスクに集められて、
そうするように強いられているのかもしれない。
そうしたら、なんだかちょっとだけミステリー小説のトリックみたいだ。

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日本に十日くらいいたけど、そのうち三日は朝まで飲んでいた。
ゆっくり休もうと思って帰ってきたが、現実はなかなか難しい。

初めて会った人と飲む機会や話す機会もけっこうあって、そういう時に決まってされる質問は、
なんでアフガニスタンに行こうと思ったんですか、とか、なんで地雷処理をしようと思ったんですか、というものだ。

しっかり答えようと思ってよく考えてみると、もっともらしくて納得のいくような答えはいくつか用意してあるけど、
本当はもっと直感的で直情的な理由から決めたような気もする。

そう答えても全く共感を得られそうにないので、大体は、もっともらしいバージョンで答えておくことにした。
そうしたら、大抵はもっともらしい顔で話を聞いてくれる。
初対面の日本人と僕の間に埋めようもない溝があるように感じることが、たまにある。

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やっぱり、この前聞いた呻き声に似た声の正体はわからないけど、またカブールに戻りたいなぁと無性に思った。
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by aokikenta | 2007-08-04 15:08 | 日記(カブール)


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