「ほっ」と。キャンペーン
2007年 06月 29日
エピローグ
 マシュハドの夜の街を歩き、イスファハンの広々とした並木道や情緒的なザーヤンデ川の川べりを歩くうちに、僕は心地のよい疲れと新しい刺激によって躍動的になった五感によって満たされていた。退廃していた脳みそは再び動きを始めた。僕がカブールで感じていた知的停滞は肉体的停滞と深く結びついていたのかもしれない。自爆テロ、ミサイル攻撃、誘拐、IED爆発。そんなニュースに囲まれ、移動の自由を奪われた生活の中で、自然と事務所に籠もる事が多くなっていた。肉体の冒険を阻害され、知性の冒険を自分自身で喪失していた。

 ハラムの前で会った青年ハディ、マシュハドからテヘランへ行く列車で出会ったアーメッドとモフセン、テヘランのカフェで会った陽気な人達、イスファハンで会ったマウンテンバイクに乗る若者2人組、ハージュー橋で会った流暢な英語をしゃべる若者2人組、サイードとアフマド、そしてナイム・ホテルの従業員達。イランの旅で出会った素敵な人たちが、僕の心にしばらく失っていた弾力性を取り戻させてくれた。

 ナイム・ホテルの201号室のベッドで横になりながら、僕は明日カブールに帰るんだということをごく当たり前のこととして受け入れていた。柔らかい眠気の中で、脳裏に瞬く無数の光跡と夜行列車の余韻を背中にそっと感じながら、目を閉じて深い眠りについた。

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(おしまい)
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by aokikenta | 2007-06-29 15:20 | 隣接国探索①奔流イラン編


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