2007年 03月 06日
アフマド・シャー・マスード
カブールへ戻る途中、アンジェラ・アキも聴いていたが、長倉洋海の『マスードの戦い』(河出文庫、1992年初版発行)も暇がある時に読んでいた。長倉さんはアフガニスタンに関する本や写真集を出版している方で、その筋では有名な方だ。『ワタネ・マン』という写真集を見たことはあったが、『マスードの戦い』はこれまで読んだことがなかった。

e0016654_1282099.jpgいい事から書くと、先ず写真が素晴らしい。出たとこ勝負のアナログカメラでこんなに沢山いい写真が撮れるなんて、さすがプロフェッショナルと唸らされる。僕が特に好きなのは、イスラム自由戦士ムジャヒディンの前で訓練の指揮を取っている写真。僕も元ムジャヒディンと一緒に仕事をしているが、彼らは「戦士」とは名ばかりで、農作業や商売の手伝いの傍らでコマンダーの下に仕えていたという、農民に毛の生えたくらいの人が多い。そんな教育も受けていない若者を一人前の戦士に仕立て上げ、旧ソ連にいくら攻撃をしかけられても陥落されずに「パンジシールの獅子」と恐れられるようにまでなった彼のリーダーシップを感じさせる1枚だ。

文章も、100日間同行しないと書けないようなディティールが詰まっている。例えば、雪山の中をマスード軍の兵士達と一緒に行軍して雪目になったエピソードなどを聞いていると、戦闘の裏側を垣間見れるような気がする。そういった意味ではアフガン戦争のエスノグラフィーとでも呼べる一冊になっている。

とても面白かったが、マスードに同行して書かれた本だけにone-sidedな本と言うこともできる。彼と敵対していた中央政府、パシュトゥン系の軍閥、タリバン、旧ソ連からしてみたらマスードの思想はどうだったのか、と問うている部分は一切ない。プロマスードの立場で書かれているので当然と言えば当然なのだが、別の立場にいた人から意見を聞けば違うことが聞けるに違いない。今度時間があれば、スタッフに意見を聞いてみたいと思う。

とはいえ、読み物として面白いことに変わりはない。
アフガニスタンに興味があれば、お薦めの一冊。

(写真出典)
amazon.co.jp
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by aokikenta | 2007-03-06 01:29 | 日記(カブール)


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