2007年 01月 13日
TV hill
e0016654_2244067.jpg 標高1800メートルの盆地に広がるカブールで、一際目を引く丘がある。その名は、TV hill。日没後、TV hillの足元をランドクルーザーで移動すれば、車窓から見えるのは、丘の斜面に所狭しと立ち並ぶ家々だ。窓からこぼれる電球の柔らかい黄色をした明かりが目に映る。あんな高い所で暮らすのは大変だろうな。そんなことを考えながら、その家々と僕の間に何の接点もないまま、車はTV hillの前を通り過ぎていく。

 日本に一時帰国中のある日、僕は友人と食事をした帰りに電車で揺られていた。席に座り、しばらくするとウトウトしてきた。はっと目が覚めて、電車の窓から景色を見渡した。パラパラと点在する柔らかい明かりが見えた。TV hillだ。自分のいる地面の下を巨大な蛇が這って行くような気持ちの悪い重低音が頭の中に響き渡った。一瞬、背筋にゾッとするものを感じながら、我に返った。ここは日本だ。TV hillのわけがない。良く見ると、それは綺麗で立派な高層マンションだった。あんな高い所には誰が住むのだろう。そんな事を思いながら、電車はそのマンションを通り過ぎて行った。

 インドネシア旅行の最終日、僕は友人ディアの車の中にいた。同乗していたのは、運転しているディアと、カナダ人女性のステーシー。今日の午後、カブールに帰るのか。そんな事を考えていたら、僕の眼前に黒い山が現れた。黒くて鉄の塊のように重たい山が、僕の目の前を遮るように立ちはだかる。邪魔をするのは誰だ --- "Kenta, are you okay?"ステーシーが声をかけてきた。あの黒くて重たい山は、TV hillだったのだろうか。"I'm fine, I'm fine"そう笑顔で返しながら、僕はその山の正体を見つけようとして見つけられずに、一人当惑していた。
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by aokikenta | 2007-01-13 02:33 | 日記(カブール)


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