2006年 09月 27日
台湾4日目 福隆(フーロン)海水浴場
2006年9月28日(木)

  前日は朝までクラブ遊びをしていたので、起きたのはお昼だった。前に行った食堂で定食を食べてから、前日にイアンから薦めてもらった場所に行く事にした。その場所とは、福隆(フーロン)と呼ばれる所で、海水浴場とお弁当で有名な場所だということだった。今回の滞在の主目的は体を休めることだったのだが、マッサージと温泉を体験した今、僕が行きたい場所は海だった。別に泳ぎたかったわけではない。海が見えるところで、ゆっくりと小説を読んでいたかったのである。

  台北駅で福隆行きの列車のチケットを買うと、約1時間ほど待たなければならなかったので、近くのインターネットカフェでメールをチェックすることにした。台北では至るところにインターネットカフェがあるだろうと思って侮っていたのだが、案外台北駅辺りにはなく、道端の商店主らに道を尋ねながら30分ほど探し回ってやっと1軒のカフェに入った。道を聞く人すべて親切で、セブンイレブンの店員さんは100メートルくらい離れているのにも関わらず、一緒に歩いてカフェまで案内してくれた。台湾人は親切だ。

  大陸中国ではこんな事は経験したことがなかった。中華人民共和国では、瓦解しそうな共産党政府が反日感情を利用して愛国教育を行った為、現在でも反日の人が多い。特に、1994年から江沢民が本格的に愛国教育に力を入れだしたという事実があり、中国を旅していると差別的な体験をすることもしばしばであった。反対に、台湾では親日の人が多いと感じた。1895年から1945年終戦まで台湾は日本の占領下に置かれていたので、現在でも強い反日感情があっても驚きはないのだが、肌で感じたところでは現実はそうではなかった。この中国と台湾における日本への感情の違いに対する原因を特定する作業は容易ではなく、むしろ膨大な資料が必要なことであって、僕の知識で語りつくせるような問題ではない。しかし恐らく、台湾では、戦後、反日教育を行ってこなかった事や、日本占領時代の記憶がそれほど悪いものではなかった事や、文化交流が盛んなことで日本と台湾の間に多くの関係が出来ている事などの諸々の要素が、中国と台湾における日本に対する感情の違いを作り出しているのだと考えられる。

  午後1時30分ごろ、列車は福隆へ向けて出発。ものすごく遅い列車だったが、1時間と少しで到着した。海水浴には季節はずれの福隆の街には人はまばらで、さながら季節はずれの熱海といった風情であった。それでも静かな方がいいさとうそぶきながら、橋を渡って海水浴場へ向かった。予想通りビーチには人はほとんどいなかった。適当に写真を撮り、海辺の石段に寝転がりながら本を読み始めた。

  今回の旅で読んだ本は、台湾へ出発する前々日に大阪の友達からもらった『オシムの言葉』と、古本屋で買った村上春樹の『ノルウェイの森』だった。『オシムの言葉』は、如何にオシムがいい監督なのかが、豊富な取材による裏づけから述べられている。納得する部分も多いのだが、イマイチ釈然としない部分もあった。例えば、ジェフの坂本が判断ミスから失点してしまって2対2の引き分けになってしまった際に、オシムが選手全員の前で坂本に向かって「お前のせいで、きょうの試合は引き分けてしまったんだ」と言い放った場面(P.223)。状況は違うが僕の場合、スタッフを他のスタッフの前で怒るようなことはあまりしたくない。何故なら、仲間の面前で怒られるとプライドを大きく傷つけられるからである。特に、そのスタッフがマネージャーなどの地位にいる場合、威厳が損なわれてしまうので仕事に大きな影響が出てくる。そんな怒られる奴から指示されたくねえよ、と周りから思われてしまうのである。

  本の中では、その発言の後にオシムが坂本を呼び出して、「お前を通してみんなに伝えて欲しいものがある」(P.225)と伝えた、とあるのだが、どうしても言い訳めいて聞こえてしまうのは僕だけだろうか。『オシムの言葉』に限らず、成功した人が何かをしたり言ったりした場合、やる事なす事全てが美談になってしまう傾向がある。上の言葉によって、その選手が自信をなくして、チームの成績も悪かった場合、この話しは美談になることはなかったであろう。成功した人がする事は何でも正しいのか。

  これまで村上春樹の本の中には好きな本もいくつかあったが、『ノルウェイの森』は性的描写が非常に多く、若干の抵抗があった感は否めない。しかし、登場する人物の多くが心に底知れぬ闇を抱えており(現実の社会では生きられず、孤独やそれ以外の要因から自殺してしまう人物が多く登場する)、そうした人間達が織り成すストーリーを楽しんでいたのも事実だ。何故、そうした人物に興味を持つのか自分でもわからないが、自分の中にも彼らと同じような深い闇があって、その部分が共鳴をするからかもしれない。

e0016654_13314947.jpg

↑福隆海水浴場の風景。

  午後5時30分頃、ビーチを後にしてご飯を食べることにした。福隆ではお弁当が有名ということで、駅前のお弁当屋さんで食べる事にした。値段は50元(約200円)。写真では大しておいしそうに見えないかもしれないが、実際はすごくおいしかった。何だか母親のお弁当を食べているような感覚を覚えた。よそ行きの味ではなく、台湾の家庭の味がするのである。しかも、お弁当箱に白米をぎっちり詰めて、その上に沢山のおかずを乗っけて無理やり蓋をする方法がウチの母親のお弁当とそっくりで、なんだか温かい気分に浸った。

e0016654_14134481.jpg←煮玉子、角煮、煮物、漬物、ちくわなどが白米の上に乗っかっている。安うま。


  午後6時40分頃の列車に乗り、福隆を後にした。午後8時頃、台北駅到着。おおしろに戻り、シャワーを浴びたり、メールチェックをしたり、本を読んだり、他の人たちと話したりして、寝た。
[PR]

by aokikenta | 2006-09-27 13:30 | (番外編)台湾旅行記


<< 台湾3日目 北投温泉      台湾5日目 市内観光 >>