2006年 09月 26日
台湾5日目 市内観光
2006年9月29日(金)

  台湾に来てから3日間は体をゆっくり休める事、楽しむ事に専念したので、この日はようやく市内観光名所巡りをすることに決めた。台湾と言えばやはり「故宮博物院」ということで、今回の旅では珍しく朝の9時から出かけた。

  台北の朝はラッシュがひどい。台北市は人口過密都市なので、車も多いが、何よりスクーターの数が半端ではない。スクーターだと車と違って、駐車スペースに頭を悩ませる必要がなく便利なようで、数で言えば車と同じかそれ以上あるような印象を受けた。朝のラッシュ時には見渡す限りどこも、スクーター、スクーター、スクーター。本当に多い。

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↑台北の朝。とにかくスクーターが多い。ひょっとしたら世界で一番かも?
 
 
  さてこの日訪れた故宮博物院の「故宮」とは北京にある所謂「紫禁城」のことで、台北市にそこの美術品などが展示されている事は意外な感じがする。何故、台北に故宮の文物があるのかという疑問には、実は日本が深く関係している。20世紀の初頭に、日本軍は満州を支配下に置く為、中国の華北地方に対する圧力を強めていた。そのため、蒋介石の国民党は歴史的に価値がある故宮の文物を日本軍から避難させる為に、それらの多くを南方に移したのである。その後、中国共産党に敗れた国民党とともに、それらの文物はいくつかの都市を経由して台北に到着したのであった。

  台北駅から北に20分ほどにある士林駅で地下鉄を降り、バスを乗り継いで故宮博物院を目指した。10分と少しでバス停に降りると、白人の女性が英語で声をかけてきた。「Do you know where the National Palace Museum is?(故宮博物院はどこですか?)」。僕も初めて来たのでわからないなぁ、と思って辺りを見回してみたらすぐに後ろにあったので「I guess (that) this is it(多分これだと思うけど).」と答えた。なんだこんなに近くにあったのかとでも言いたげな少し恥ずかしそうな笑顔を浮かべていたが、その何気ない会話をきっかけに僕らは当たり障りの無い話から会話を始めた。彼女の名前はマルティナといい、笑顔が可愛らしい白人の女性で、ポーランド出身ということだった。医学生で、今は最終学年にあたる大学7年目をしている。台湾のとある大学と交換プログラムをしているので、1ヶ月程高雄(台湾南部の都市)で勉強をしたらしい。しかし、それも終了したので台湾人の友達の家に泊まり台北観光をして回っているということだった。なんとなくお互い話しが合うので、どちらから言うともなく彼女と僕は自然に行動を共にするようになっていた。気がつけば一緒に博物館を見て回っていた。

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↑非常に大きいと聞いていたが、一部のみを定期的に展示しているらしく、2時間ほどで見て回る事ができた。

  マルティナと博物館を回るのは楽しかった。僕が展示品を見たいと思うとき、彼女は僕に話しかけてこなかった。反対に、彼女が展示品を見ている時は、僕は話しかけなかった。しかし、お互いが展示品を見ていない時には、それとない話題のおかげで退屈をすることはなかった。彼女のその辺りのさじ加減は、僕のそれと非常に近いらしく、僕達はお互いの孤独を守りながら、しかし、同時に孤独を分け合うことができた。初めて会った人とそういう絶妙なコミュニケーションが取れたのは素敵な体験だった。

  12時ごろ、少しのお土産を買い、お互いの次の目的地へ向かうことにした。彼女と僕の目的地は近かったので、途中まで地下鉄をともにした。マルティナは、開発途上国で医療活動をする事が一つの目標であるらしく、僕がアフガニスタンで活動している事にすごく興味を持ってくれた。

  今回の旅で、「アフガニスタンで働いています」と言うと、良い悪いは別にしろ会話の糸口となることがよくわかった。大抵の場合、僕がそう答えると「本当ですか!?すごいですね!」という返答があり、その返答をされた人が、また別の第三者に「この人はアフガニスタンで働いているんですよ!すごいでしょ!」と伝えてくれるというような様子だった。アフガニスタンで住む事が当たり前の僕にしてみれば、海外を何年も旅している人の方がよっぽどすごいと思うのだが、世間では結構インパクトがあるらしいということがわかった。何ヶ月もアフガニスタンにいてずれてしまった感覚を、他者とコミュニケーションすることによって微修正することは、バランスを取る上でとても重要な作業だ。

  マルティナは僕より少し先に行った駅で友達と待ち合わせがあるというので、僕は彼女よりも一駅先に地下鉄を降りた。大きな感情が湧き出してくるというのではなく、いつも営業で行くと笑顔で笑ってくれる受付のお姉さんがいなくなってしまった、という場面で感じるようなふっとした喪失感が僕にやってきた。その感覚は鮮烈なものではなかったが、この先のいつか、布団で寝ている時に、理由もなく突然蘇ってくる過去の記憶の断片として思い返されそうな感覚だった。すっと記憶の引き出しにしまった。
 
  もう午後1時を過ぎていたので、お昼を通りすがりの食堂で食べ、「十足健康」という足裏マッサージ屋へでかけた。またマッサージかという感じはあるのだが、前回行ったマッサージ屋の足裏マッサージが期待外れだったので、評判が高いこのお店に行く事にした。「十足健康」は呉神父と呼ばれる足裏マッサージ界の権威が作ったお店で、どのガイドブックにも掲載されているような人気店だ。料金は30分で600元(約2400円)。

  足裏マッサージを注文すると、まずは濁ったお湯で足湯をする。マッサージがより効くようになるというような効能があるのだろう。数分間足を濁ったお湯につけた後は、床屋にある椅子のようなマッサージ台に移動して、マッサージを受ける。前のお店とは違って、マッサージ師は足ツボを的確に刺激してくれ、こちらが痛いと言った部分から、体のどの部分が悪いのかを指摘してくれた。

  マッサージ開始後5分、最初に痛いと感じる部分があった。マッサージ師は足裏のこりがわかるらしく、即座にアドバイスをくれた。

マッサージ師「頭が悪いですねぇ」(少し訛った日本語で)

「えっ!?」

マッサージ師「睡眠不足とか、頭痛とか・・・ありませんか?」

なるほど頭が悪いってそういうことね、と思いつつ、確かに寝不足だと思い知る。その後も、心臓、肝臓、腎臓、肩、首、腰が悪いと指摘を受けた。思い当たる節のない部位もあったが、なんとなく「当たってるかもなぁ」と思ってしまった。そう思った隙をついて、

マッサージ師「この後、整体をやると首、肩、腰にいいですよ」

と営業をかけられ、あっさりと向こうの術中にはまってしまった。追加で更に30分600元(2400円)のチャージ。大抵の日本人は、旅先だからこれくらいいいか、と思って払うのだろう。
 
  合計60分マッサージと整体をしてもらった後、500ccのお湯を飲みなさいと言われた。理由はわからないが、血流がよくなったところで、お湯を飲む事で老廃物を排出する事が可能になるのだろうと思う。500ccを飲み干し1200元を支払って、お店を出た。後で感じた事だが、足裏マッサージをしてから本当に体に改善が見られた。占いほど怪しくはなく、西洋医学ほど科学的ではない。それが足裏マッサージ。

  その後、少し雨がぱらついてきたが、すぐ近くにある「国父記念館」へ向かった。ここは孫文を祭った場所だが、台北という都会の中で格好の憩いの場所になっている。

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↑国父記念館。入り口の辺りに見える豆粒のようなのが人間だ。

  ここでは幸運なことに衛兵の交替を見ることができた。バッキンガム宮殿でも見られるが、機敏な動作で動く衛兵の姿は見ていて気持ちが良い。

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↑入り口を入った所にある国父像の前で行われる衛兵交替。

  久しぶりに朝早くから出かけて疲れたので、一度おおしろへ戻り、19:30にイアンと待ち合わせをした。前々日の夜市探索に来られなかったキャロルが来られるということで、イアンが食事をセッティングしてくれたのだ。イアンは会社から自宅へ一度帰ってから車で来てくれたので、それに乗り込むことにした。向かうのは「ティンタイフォン」という台湾で一番有名な小龍包のお店。日本からのツアーでは確実に組み込まれる程有名なお店で、店員さんにも日本語を話せる人がいる。僕らは、僕、イアン、チューフイ、キャロル、そしてイアンの友人のエミリアの5人で食事をした。

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↑小龍包。中からこぼれだす肉汁がうまい。

  噂どおり美味しかったことは確かだが、個人的には上海の南翔饅頭店で食べた小龍包の方が美味しかった。産まれて初めて食べたのが上海の小龍包だったので、上海の印象が強いだけかもしれないのだが、ティンタイフォンの小龍包は小綺麗にまとまっているという印象で、インパクトに欠ける所があった。しかし、せっかく台湾に来たのなら行ってもいいお店の一つであるとは思う。

  小龍包でお腹一杯になった所で、デザートのマンゴーカキ氷を食べに行く事にした。「ビングワン(二水に氷+館)」という有名なデザート屋さんで、マンゴーカキ氷の元祖であるという。台湾は南国なので、果物は豊富に採れる。僕の好きなマンゴーが食べられて満足だ。

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↑名物のマンゴーカキ氷。見た目通りうまい。

  もうこれ以上入らないというくらいお腹が一杯になった所で、次は陽明山へ行く事にした。台北市内から車で30くらいで行ける山で、東京で言えば高尾山のような場所だ。陽明は中国語でヤンミンと言うらしく、陽明山を英語で言うと「ヤミーマウンテン」と聞こえる。「Let’s go to yummy mountain!(おいしい山へ行こう!)」と駄洒落をいいながら、5人で陽明山に向かった。

  陽明山から見える夜景は格別だった。ドライバーのイアンを除いて台湾ビールを飲みながら、僕達は思い出話をしながら夜景を楽しんだ。旅はあと1日で終わる。

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by aokikenta | 2006-09-26 13:25 | (番外編)台湾旅行記


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