2006年 08月 15日
ヒトラーとロジスティック
今僕の事務所で働いているウクライナで農学修士をとった非常に優秀なスタッフがヒトラーの言葉を引用して次のようなことを言っていた。

「ロジスティック・オフィサー(兵站係)は1年経ったら殺さなければならない。何故なら、1年経つころにはお金を作るようになるからだ。」

裏をとったわけではないので本当にヒトラーが言ったのかどうか定かではないが、核心をついている言葉だなぁと思った。ロジスティック・オフィサーは前線部隊に食料や物資を補給する後方部隊で、物資の調達や輸送のアレンジを担当する係りだ。NGOにも物資調達を担当するロジスティックオフィサーを置くところが多い。お金を作るとは、要するに二重領収書を作成することである。例えば、砂袋一つを5アフガニーで購入しておいて8アフガニーの領収書を作成する、もしくは、つながりの深いお店に頼み作ってもらう。実際の購入価格と組織に提出する領収書の価格の差額をポケットに入れる。ヒトラーはロジスティック・オフィサーがこれをするようになるのが仕事にすっかり慣れる1年目辺りだと言うのだ。だから、殺せと。

アフガニスタンでは、上のような形であれ他の形であれお金を作ることが一種の悪習になっている。僕がアフガン人に対する偏見を持っているから言うわけではなく、アフガニスタンに10ヶ月近く住んでいて、アフガン人自身がそう言うのを何度も聞いたことがある。幸い僕がいる間に事務所ではそうしたことは起こったことはない(と信じている)が、先輩や他の組織の方からは似たような事例を多々聞いたことがある。

不正をなくしつつローカライゼーションを進めるのは非常に難しいことだ。締め付けを強くするのであれば、チェック機能を強化し国際スタッフの承認を何回か得なければならないシステムにしなければならない。しかし、それでは国際スタッフの仕事は一向に減らない。また、援助をする国のキャパシティー・ビルディングにもならない。しかし反対に、ローカライゼーションを進めるのであれば、ある程度の限度の範囲内でナショナル・スタッフに承認の権限を与える方策が考えられる。しかし、それを進めるには資金の盗難や不正のリスクを抱えることになる。

どこの国で活動するにしても直面するでろう問題だ。さじ加減が難しく、非常に微妙な問題だと思う。考えられる解決法は、信頼どうこうという問題とは切り離し、不正の可能性が限りなくゼロに近くなるシステムを構築する事以外にない。むき出しでお金が机の上にあれば、悪人でなくとも魔が差して盗ってしまうこともあるだろう。要するにそういうことだと思う。
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by aokikenta | 2006-08-15 01:28 | 日記(カブール)


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