2006年 05月 30日
米軍車両交通事故による暴動勃発
 昨日29日、首都カーブルにおいて米軍車両と民間車両の交通事故を発端として大規模な反米暴動が発生した。報道によれば、カーブル市北西部サライ・シャモリ地区において米軍コンボイを編成していた軍用貨物トラックが12台の民間車両に突っ込み死傷者が出た。原因は、機械的故障(Mechanical failure)と言われている。これに怒った民衆が、米軍コンボイに向けて投石などを行い、米軍・アフガン警察・民衆の間で大規模な衝突に発展した。

 事実関係は確認されていないが、米軍もしくはアフガン警察が民衆に向けて発砲を開始し、少なくとも7名が死亡、数十名が負傷したと報道されている。民衆は群をなして、カーブル中心部にある大統領官邸(Presidential Palace)に、投石・焼き討ちを繰り返しながら向かった。警察所、米国関連施設、NGO施設などが焼き討ちにあい、通り道にある多くの車も丸焼きにされた。

 ナショナルスタッフからの報告を受けて数十分後、外から人々が叫ぶ声と銃声が聞こえ始めた。暴動隊が事務所の前を通り抜けて行ったのである。幸い、事務所スタッフ、施設に被害はなかったが、連続的に聞こえる銃声と人々の雄叫びを聞きながら、門に施錠し事務所に待機をした。

 同日夜、アフガニスタン政府内務省は午後10時~翌日午前4時までのカーフュー(Curfew:夜間外出禁止令)を発令した。2001年タリバン政権崩壊以来始めてのカーフューであった。

 国連、各国政府、NGOは迅速な対応をし、本日30日はほとんどの団体は事務所をクローズ、スタッフの自宅待機を命じた模様である。特に、国連は今回の暴動を最も危険な状態と判断し、ホワイト・シティー(White City:外出禁止)を宣言した。ホワイト・シティーは、選挙など最も緊張感が高まった時にしか発令されない非常事態宣言である。
 
 本日は、本部・関係団体・ナショナルスタッフと連絡を取りながら、完全外出禁止での自宅待機。アフガン国軍(ANA:Afghan National Army)と警察による市内厳重な警備(戦車、装甲車、重装備歩兵)のおかげで大きな事件は発生しなかったようである。しかしながら、当面は暴動の再発が否定できないので、通常以上の安全対策を講じながらの事業運営になるであろう。

 今回の暴動は、米軍車両が引き起こした交通事故を発端としているが、大きな反米運動へと拡大する可能性がある。アフガニスタンに駐留する米軍に対する地元民の反応は非常に悪い。平時、街を車で移動していると、米軍装甲車が民間車両を遮って車の列に割り込むことが多々ある。割り込みによって民間車両が玉突き事故を起こすことも稀ではない。そんな時でも、米軍は何事もなかったかのようにその場を走り去ってしまう。交通事故の補償は誰もしてくれない。これは一例に過ぎないが、米軍のアフガニスタンに対する国家戦略の一側面を表していると言える。現地に流れる車の列は関係ない。自分達は自分達の目的を達すればいいのだ。

 こうした米軍への反感に加えて、生活が改善しない民衆の間には鬱憤が溜まっている。民主化への道を歩み始めたとはいえ、失業は不安定な治安と並ぶ深刻な問題であり、民衆は経済的困窮にあえいでいる。物乞いの姿は当たり前のように見られ、シャベルを抱え仕事の依頼を待つ大量の日雇い労働者が道端に座り込んでいる。そうした状況にも関わらず、物価は上昇し、益々苦しい生活状況に追い込まれる。国際社会の支援は何処へ行っているのだ?カルザイは一体何をしているんだ?

 背景にある米軍及び政府への不満を爆発させてしまった今回の交通事故。民衆の感情を利用したいイスラム過激派などの反政府勢力と結びつき、より大きな反米運動になるのではないかと危惧している。事態が一刻も早く沈静化することを祈っている。
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by aokikenta | 2006-05-30 23:52 | 日記(カブール)


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