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2006年 04月 25日
「大富豪・大貧民」と「構造的暴力」
 「カーブルの○○屋」シリーズも6回連続でやってきたので、今日はちょっと休憩させてもらおう。

 唐突だが、トランプゲームの「大富豪・大貧民」をご存知だろうか?このゲーム、現代世界が抱えている貧困という問題を恐ろしい程によく表した好ゲームだと思う。

 富めるものはどんどん裕福になって行き、貧しいものは貧困から抜け出す道を見つけられない。「大貧民」になってみると貧しい人の気持ちが良くわかる。ただでさえ貧しいのに、「大富豪」へ上納金(一番いいカード2枚)を「献上」しなくてはならない。「大富豪」は何もしなくても、上納金が手元にやってくる。

 これはまさに、平和学の基礎を築いたヨハン・ガルトゥングが言う所の「構造的暴力(structural violence)」である。「こんなんじゃ勝てるわけねえよ!」と、大貧民になって思わず叫んだあなた、あなたは既に平和学の基礎概念をマスターしていると言って過言ではない。

 更に、「こんなんじゃ勝てるわけねえよ!」と間違って先輩に言ってしまい、先輩から「うるせー、飲め!」とビールをグラスに注がれたら、あなたは「文化的暴力(cultural violence)」まで理解したことになるだろう。よくできました!

 将来、万が一にも大学教授になって平和学を教えることがあったなら、第一回目の講義は、とりあえず講義の間中ずっと大富豪・大貧民だ。残りの5分間に「このゲームはね、実に平和学的問題をよく表しているんだよ」と平易な言葉で学生に講義をしてあげよう。難しい事を難しい言葉で説明するような野暮ったいことはせず、難しい事を簡単な言葉で説明する粋な先生になろう(完全な私の妄想です・・・)。

 最後に、大貧民から抜け出せないからと言って、ゲーム中に直接的暴力(direct violence)に訴えることのないようにご注意下さい。

(了)

by aokikenta | 2006-04-25 23:11 | 日記(カブール)


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