2006年 02月 07日
デンマークの憂鬱
 デンマークの新聞に掲載されたプロフェットモハメドの風刺漫画に対する抗議デモがアフガニスタンで激化している。報道によればラグマン州で警官の発砲により1名が死亡。デンマーク大使館周辺でも数百人規模の集会が開かれた。

 午前中に外出をした時には何も見かけなかったのだが、外出をした他の人に聞くと、デモの為に道が封鎖されていたと言う。また、提携しているデンマークのNGOでは事業地のコンパウンドが放火されたという情報が入ってきた。

 実際にどのような風刺漫画が載ったのかはわからないが、デンマークのとある新聞社がモハメドを侮辱するような漫画を載せたことは確からしい。この新聞社の経営判断は明らかに間違いであると言わざるを得ない。多様な宗教・価値観・民族が存在する世界が平和に共存(co-exisit)していくためには、こうした多様性を認め合う態度が必要である。そして、大多数の人々はそうした多様性を持ち合わせているように思う。しかし、この新聞社は持っていなかった。

 しかし、デンマークの一新聞社がしたことと、デンマーク政府の態度は全く別の話しである。今回の騒動の発端はデンマークの新聞記事であり、モハメドを侮辱されたからといって、それがデンマーク大使館の襲撃やデンマーク人への横暴を許していいということにはなり得ようがない。

 デモが拡大した背景には、グローバリゼーションから取り残されたことに対する「不満」が存在する。いくら働いても暮らしが楽にならない人々がイスラム世界には沢山いる。例えば、アフガニスタンでは相変わらず仕事がない、もしくは、収入が上がらない人が大勢いるにも関わらず、ナンの値段は値上がり、電気は2日に一度しか来ない、加えて、冬の間にはディーゼルも値上がりしている。庶民の間では、戦争は終わったけれども一向に暮らしが楽にならないという不満が蓄積している。デモに参加している人々の中には本当にデンマークの新聞記事に対しての憤りによって突き動かされている人もいるだろう。しかし、今回のデモ騒動は、日ごろ溜まっていたどこにぶつけてよいかわからない不満を一気に噴出させただけと捉えることができる。

 その証拠に、デモ集団はデンマーク関連の建物のみならず、道にある車や建物に辺り構わず投石したり破壊している。デモという特殊な状況をいいことに日ごろの鬱憤を爆発させているという解釈が可能だ。また、集合沸騰状態に陥っているが故に働く集団心理の影響も強い。

 多様性を認めていこうという世界的な風潮の中、人が大事にするものを侮辱した新聞社が悪い。それに対して暴力に訴えるデモに参加する人々が悪い。そして、背後に横たわる経済格差の存在- 世界的な騒動の発端になった記事を書いたデンマークの新聞記者は今何を思っているだろうか。
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by aokikenta | 2006-02-07 00:47 | 日記(カブール)


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