2006年 01月 12日
深刻なhuman resource不足
 ここ2日間ゆっくりと休んだので、今日は普段なかなかできない業務に取り組んだ。かなりはかどった。

 お昼過ぎ、お隣さんからお茶に誘われたので先輩と二人で言葉に甘えた。ケーキやクッキー、その他のお菓子をご馳走になりながらお茶をした。誘ってくれたのはうちの事務所でゲートキーパーをしている22歳の男で、我々が暇そうにしているので誘ってくれたようだった。主な話題は彼の家族について。彼の叔父は30年前、ザヒールシャー時代にドイツに難民として移住をし今でもドイツに住んでいるということだった。もう1人の叔父はアメリカに移住し、彼も未だにアメリカに住んでいる。

 「叔父さん達は戻ってこないの?」と質問してみると、彼らはドイツもしくはアメリカで既に仕事があり子どももそちらの社会に馴染んでいるので戻ってこないだろう、との答えだった。確かに、ドイツやアメリカという世界トップクラスの豊かな国で仕事もあり、家族もそちらの生活で不自由がないのであれば戻る理由というのはそれほどみつからない。

 それと同時に、アフガニスタンの現状を鑑みれば自発的に帰還しようと考える人は稀だろう。まず、治安の問題がある。未だに自爆テロが多発して民間人が巻き添えを食う事件は後をたたないし、警察官が殺されたとか、ロケット弾がどこぞやに直撃したなどのニュースも後を絶たない。また、失業率の高さがネックになっている。アフガン人と少し仲良くなれば、仕事を紹介してくれとか金を貸してくれとか頻繁に言われるし、街には物乞いが溢れている。仕事がある人も食べていくので精一杯の人がほとんどだ(援助機関で働く人は別だが)。

 しかし、難民としてイラン・パキスタンその他の国に逃れた人々が戻らなくては復興は遅々として進まないであろう。現在のアフガニスタンではヒューマンリソースが圧倒的に不足している。先進国で通用しそうな希少な人材はほぼ全部、国連をはじめ援助機関に持って行かれてしまっている。ここには、ビジネスチャンスが五万と眠っていると確信しているが、それを活かせる人間がいない。これは、アフガニスタンでの平和構築を考える上で深刻な問題だと思う。

 もちろん、自発的に帰還する意思がない人々を強制的に本国に送還することは国際法に反する。戦争・迫害・政治的抑圧などの理由で本国を逃れてきた人は難民として他国に受け入れられるべきだと個人的には思う。しかし、上で書いたように彼らの力は本国で必要である。非常に難しい問題だと思う。

 また、仮に難民が帰還したとしても、アフガニスタンへ戻った後の彼らの再統合の問題がある。アフガニスタンに残り戦士として戦った者たちからすると、ヨーロッパやペシャワールに逃げた人々を受け入れるのには勇気がいる。自分が戦士として戦ったと仮定するとわかりやすい。命がけでイスラムの大儀を守る為、家族を守る為に戦い、生き延びた結果が貧しい生活である。一方で、戦争が始まるや否や戦わないで逃げ、明日がない不安がありながらもそれなりに豊かな暮らしをし、教育を受けたものがいる。戦争が終わってから彼らが戻ってきて自分に指示を出し、自分よりも高給取りになる。簡単に受け入れられない人間の方が普通だろう。これもアドレスしておくべき問題だと思う。

 平和構築を考える上で、今いる人材を育てるのは一案だ。例えば、奨学金制度を設けて、優秀な人材を日本・アメリカ・イギリスなどへ留学させて技術・能力を身につけさせるのは良い考えだと思う。その他にもアフガニスタン政府とドナー国大使館、国連、NGOなどの間で相互人材派遣などを行うことも、アフガニスタンの将来を考えるとポジティブな効果が見込まれる。援助機関は「いいことやりました」レベルで終わらずに、長期的あるいは大局的な視野に立ち事業を展開していく必要がある。

 ちなみに、今日まで知らなかったのだが、お茶に誘ってくれた青年も2年前までペシャワールに住んでいたのだという。ナジブラー政権が倒れ内戦が本格化する前に家族ごと移住したのだという。自分が研究した話題がそこらへんに転がっている。刺激的な環境だとつくづく思う。
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by aokikenta | 2006-01-12 01:10 | 日記(カブール)


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