2005年 11月 03日
東京勤務最後
 今日で東京での研修は最後だった。10月3日から働き始めて気がつけばもう出発の前々日になっていた。1ヶ月というのは短い期間だけど、いろいろとあったので案外長く感じている。入ったばかりにも関わらず仕事を任せてもらって良い経験をさせてもらった。アフガンではまた新しい事を吸収して一回り大きく成長したいと思う。

 で、午前は市役所に行って住民票の移動など各種手続きをした。午後から出社して、業務の整理及び引継ぎをした。夜は東京事務所の方々と飲みに行ってたった今家に辿り着いた。最近は送別会などをかなり開いてもらっていて周りの人には感謝の気持ちでいっぱいだ。アフガンに行くという事実がこういった送別会につながっているので、別に僕の人気があるわけじゃないことは百も承知している。でも、気持ち良く送り出そうという気持ちがなければこういう会をしてもらえるわけでもないわけで、純粋に心強く思う。留学や海外赴任を通して、周囲の人から支えられて生きていることを強く感じるようになった。感謝、合掌の気分です。

 さて、アフガンに行くと本の紹介もできなくなるかもしれないので、今日は「緒方貞子―難民支援の現場から」を紹介させてもらいたい。言わずと知れた元国連難民高等弁務官で、現在のJICA理事長である緒方貞子についての本で、彼女の考え方や思想を生き生きと描き出している。

 緒方貞子は言う。「ひとことで言ってしまうと、国際社会はアフガン難民を『見捨てた』のです」(p.136)。ソ連軍が1989年にアフガンを撤退して以降は、国際社会のアフガニスタンに対する興味は急速に薄れ始めた。ソ連が撤退したことで、共産主義の拡張に対する歯止め役という戦略的な意味がなくなってしまったのだ。それによってアメリカはソ連に対抗していたムジャヒディンへの資金援助をストップし、興味はイラクへと移っていった。

 こうした世界情勢の中で、UNHCRは援助を続けたが十分な難民支援ができなかった。彼女はこの本の中で、その事が今でも心残りだと言っている。「アフガニスタンの問題はずっしりと気持ちの中に残っています」(p.149)と語る彼女は先頭に立ってアフガニスタンの復興への努力を続けてきた。2002年1月に開かれたアフガニスタン復興支援国際会議でも彼女は議長を務めて、国際社会の多額のプレッジを引き出す事に寄与した。

 日本を始め国際社会がアフガニスタンに興味を持つ事はいいことだが、日本がアフガニスタンの復興にやや必要以上に興味を持っているのは緒方貞子の影響がかなりあるように思う。アフガニスタンは20年以上の戦争を経験していて、世界で指折りの貧しい国だが、他にも援助を必要としている国はあるように思う。かなりの日本の政府資金、NGO各団体が入りこんでいることには彼女の影響が少なからずあるように思う。

 それは決して悪い事ではない。今まで見捨てられた国が世界の関心を集めることが何で悪い事であろうか。僕はむしろ一人の人間の意志の力が世論を変える一助になることに共感を覚える。そして僕もその意志の力に少なからず影響を受けている。「共感」が「共感」を呼んでいく。面白いもんだなぁ。

※「緒方貞子は良い家系の生まれで」という表現について、読者の方から不適切な表現だとのご指摘がありましたので、文中から削除致しました。申し訳ございませんでした(2005年11月4日)。
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by aokikenta | 2005-11-03 02:25 | 日記(東京)


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