2005年 07月 05日
2005年6月19日(日) 「2日目 日本xギリシャ戦」
 翌日、目を覚ますと11時30分であった。やはり、移動が長かったので疲れていたようだ。朝の仕度をして、フェデリコと外へでかけた。昨日の深夜にホテルに着いてから気がついたのだが、このホテルには朝食がついていないのだった。インターネットで調べて予約する際に、ついうっかりとしていて見落としていたらしい。いや、朝食はどこでもついているという先入観があったから、全く見ていなかったというほうが正確かもしれない。いずれにせよ、僕たちはこれから毎日、朝食兼昼食をとりに出かけるのが日課になった。
  
 この日の目玉はなんといっても、今回の旅行の最大の目的である日本xギリシャ戦である。試合は18時からということで、とりあえずフランクフルトがどんな街か歩いてみようということになった。ホテルの部屋においてあった簡単な地図を片手にプラプラと歩く。まず始めに気がつくのは街の清潔さである。

「ブラッドフォードと違う。」

これが、フェデリコと僕との共通のコメントであった。とにかく全てのものが小綺麗なのである。まず、歩道が十分に広い。オープンカフェがいたる所にあるという事実が雄弁に語るように、カフェの道具(椅子、机、パラソルなど)一式を広げて余りあるくらいの通りの広さなのである。この「スペース」というものは非常に重要である。街の雰囲気を明るく大らかな物にしてくれるのに役立つのである。ついでに言えば、カフェというのは実際の空間を有しているという以上に、会話を楽しむ、読書を楽しむ為の空間を提供することに意味がある場所である。そういったものであるカフェがフランクフルトには数え切れないくらいにあった。

 また、フランクフルトには高層ビルがまさしく山ほどもあった。世界有数のビル街、新宿西口には何度となく行ったことがある僕も、「ほーっ」とか「高けぇ」などと言いながら上を見上げる始末であった。どうやらブラッドフォードに慣れすぎたみたいである。

 他に特徴を挙げるとすれば、トラム(路面電車)が走っていることである。フランクフルトではトラムが庶民の生活の足として活躍している。私は、去年の夏に広島に行った時のことを思い出した。8月6日の平和記念式典に参加するために3泊で広島に行ったのだった。その時は、初めてみる(初めてだったと思う)路面電車に驚くとともに、愛らしい姿に好奇心をそそられたものであった。実際、広島滞在中は必要以上に路面電車に乗った記憶がある。ちなみに、アジア杯の決勝戦、日本x中国は去年の8月7日に中国で行われたので、広島の漫画喫茶で一人でヘッドフォンで見た。スポーツパブで観たかったので、歩き回って探したのだが、広島には1件もなかった。少なくとも僕が調べた範囲では。仕方なく、テレビがある漫画喫茶で見た。そんな事もあって、この試合の事は良く覚えている。旅というのは記憶をたどる旅でもあるらしい。

 20分ほど歩き、シティーセンターにあるイタリア料理やで食事をした。もちろん、雲ひとつない天気だったので、外で食べる事にした。僕は、ラザニアを頼んだ。とてもおいしかった。

 僕らは、お店を出ると、一通りの観光名所を巡り、一旦部屋に戻った。そして、15:15頃にホテルを出発。いよいよギリシャ戦である。僕たちは、ホテルの目の前にあるフランクフルト駅から電車でスタジアムへ向かった。電車は快適というほどではなかったが、問題はなかった。しかし、電車を降りてから一つの問題が発生した。僕らはインターネットでチケットを購入したのだが、直前に買ったことから、当日にスタジアム併設のチケットセンターで交換する事になっていた。僕は、予約番号などが書いてあるメールをプリントアウトして持っていった。実際に、スタジアム駅を降りてみると、その交換ができるチケットセンターが駅のある所から見て、スタジアムの反対側にあったのである。係員に聞いてみると、徒歩で30分ほどという。30分!事務的なミスとしか僕には到底思えなかった。スタジアムと名のつく唯一の駅を降りて、スタジアムは今目の前にあるのである。しかし、チケットを交換するためには裏側まで30分も歩かなければならない。これが事務的なミス以外の何者であろうか?腹が立つのを抑えながら、僕等は歩き始めた。係員に僕が英語で聞いている時に、僕と同じようにインターネットでチケットを購入した他の日本人の何人かが、「この人は何て言ってるの?」と質問をしてきた。僕が内容を答えると一緒に連れて行ってくれないかということになった。

 一緒に歩いたのは30代前半と思われる男性と、その人とは別で行動している中学2年生の女の子とその母親であった。男性はメガネをかけていていかにも優しそう。彼は、日本xメキシコ戦もスタジアムで見て、今日も見るということであった。ブラジル戦は残念ながら完売で見れないと言っていた。もう一組の親子は、フランクフルト在住3年になるという。女の子はもう夏休みに入っているということで、日本とはずいぶん違うなと思ったりした。「日本代表は好き?」と質問すると、照れくさそうに「あんまり」と答えた。多感な時期なので、見ず知らずの人と喋るのは苦手なのかもしれない。

 さて、実際到着すると鬼のように長い列ができていた。列のところで、日本人の人たちとは別れた。並んで待つ事30分くらいだろうか、ようやくチケットを手に入れた。時間はすでに開始30分前くらいになっていた。もう少し早くホテルを出ればよかった、と思いながら、そんな事を言ってもしょうがないので、入り口に進む。持っていた水のボトルを取り上げられる以外は問題なし。一直線で席に向かった。

 スタジアムは満員とは程遠かった。地元のドイツ人からすれば日本とギリシャの試合はそれほど注目カードでもないのであろう。僕にとってはそんな事は関係ない。俺が楽しめれば良い。席について、あたりを見回す。圧倒的にギリシャ人サポーターの方が多いようである。まあ、距離的に近いので、考えてみればそれはそうである。しかも、去年のユーロで劇的に優勝したギリシャであるから、サポーターの期待値もかなり高かったに違いなかった。

 ギリシャ人サポーターはうるさかった。思えば、スタジアムに到着する前からうるさかった。電車に乗る前のフランクフルト駅にいた時点で唄を大合唱していたくらいである。みな、ギリシャの国旗(青地に白の十字)色をした物を身につけて、準備万全である。日本も青ユニだから、今回は青青対決だ。

 試合は18時ちょうどにキックオフ。序盤から終盤まで終始、日本が優勢に試合を運んだ。前半は決定的なチャンスがいくつもあったが、フォワード人の決定力不足から決められず、0-0で折り返し。まだ点はいらないのかな、とみんなが思っているであろう後半の半ばくらいに、俊輔のスルーパスから大黒がゴール!スタジアムが歓喜と絶望の叫び声で包まれる。そのまま、1-0で試合は終了した。前節のメキシコ戦で、1-2で負けていたので日本の勝ち点はこの時点で3。この後、始まるメキシコxブラジル戦によって予選突破の可能性が左右される。僕等は急いでスタジアムを後にした。

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 同じ電車に乗ってフランクフルト駅に戻り、メキシコ料理やを探す。15分ほど歩きようやく、発見。前半の途中からメキシコxブラジル戦をパブで観戦した。試合は実力が均衡したもの同士の白熱したものになった。後半にメキシコがゴールを決めて1-0。隣のフェデリコが、ガッツポーズ。彼はあまりおしゃべりなほうではないが、心底サッカーが好きな男である。ガッツポーズとともに発した言葉は叫んだわけではないのだが、しみじみと彼の体に響いているのがわかる。「Yes」だか「よし」みたいな言葉をスペイン語で言ったのだろう。深い喜びである。結局、試合は1-0で終了。

 日本もメキシコも勝利。僕にとってもフェデリコにとっても満足のいく一日だった。

 

 
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by aokikenta | 2005-07-05 00:00 | (番外編)ドイツ旅行記


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